20言語で初の聖書訳出 聖書協会世界連盟が年次報告 2018年5月1日

 聖書協会世界連盟(UBS)が、世界の聖書翻訳の状況をまとめた2017年の年次報告書を発表した。世界各地域の聖書協会の事業を集計すると、全体で49言語(話者5億8千万人)に、何らかの形で聖書が届けられたことになる。

 一部分とは言え初めて聖書が翻訳されたのは20言語(話者1400万人)。一方、モザンビーク、ミャンマー、南スーダン、台湾、トルクメニスタン、ベトナムで使用されている7言語で新旧約そろった聖書全巻が完成した。4言語で新約が完成、ヨハネによる福音書など「部分訳」が初めて完成したり、増加したのが9言語。

 さらに、時代に合わせた新しい翻訳の作成や改訂も進められている。2017年は2言語で新旧約聖書、8言語で新約聖書、7言語で聖書の一部が、新しい訳で出版された。また9言語で改訂版聖書が出版され、スタディ版聖書は7言語で出された。

 この他、手話訳聖書や点字聖書の事業も世界中で行われており、近年の技術革新に伴う聖書のデジタル化も進んでいる。

 聴覚障がい者のための手話訳聖書の翻訳も世界で行われている。報告書によると、世界には400以上の手話が存在するが、そのうち聖書が一部でも手話に訳されているのは1割程度しかない。手話を第1言語とする人は世界に7千万人いるとされている。聖書の手話訳は現在、世界で26事業が行われており、さらに新たに10事業が計画、準備段階にある。これらが完成すれば、1290万人の聴覚障がい者が聖書に接触可能となる。

 視覚障がい者のための点字聖書の製作も行われている。UBSによると、世界には約2億8500万人の視覚障がい者がいると推定され、このうち4千万人はまったく目が見えない。点字聖書は44言語で新旧約聖書が完成しており、聖書の一部だけが完成しているのは200言語以上と、手話訳聖書よりも進んでいる。

 ただ点字聖書は新旧約全巻では40冊以上になり、印刷費用も1冊600ドル(約6万4千円)近くになる。音声聖書も普及しているが、点字聖書の需要は依然として高い。UBSは、点字聖書は視覚障がい者が聖書を深く読む最も効果的な方法だとしている。2017年は27の聖書協会で点字聖書に関わる事業が行われ、ガンダ語(ウガンダの主要言語)とカシ語(インドのカシ族の言語)で、一部分ではあるが初の点字聖書が製作された。

 UBSは、各言語の聖書を電子データで保存し共有する「デジタル聖書図書館」(DBL)を進めている。2033年までに世界のすべての言語の聖書を電子データで保存することを目標としており、テキストデータは昨年までに1269言語1735訳が集まった。また、音声データは前年と比べて3倍も増え、732言語1078訳が集まった。DBLに保存された聖書のデータは、米国聖書協会が運営する聖書検索サービス「バイブルサーチ」や無料聖書アプリ「ユーバージョン」(英語)などで利用されている。

 世界には現在、7079言語(話者76億人)が存在する、とUBSは推定している。このうち674言語(同54億人)で新旧約聖書が、1515言語(同6億3100万人)で新約聖書が完成している。また1135言語(同4億600万人)では、聖書部分訳が刊行されている。しかし、3773言語(同2億900万人)ではなお聖書が翻訳されていない。(CJC)

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