若手ディレクターが拓いた新境地 「WTP!!」ディレクター 細川開さんインタビュー 2018年5月11日

 メディア伝道の老舗である太平洋放送協会(PBA)が制作し、毎月7の付く日に公開されていたインターネット限定のトークバラエティー「What The Pastors(WTP)!!」が3月末、93回目の放送で「一時休止」となった。「クリスチャンのみんなに元気になってもらいたい!」をコンセプトに、牧師である朝岡勝(まさる)さん(日本同盟基督教団徳丸町キリスト教会)、大嶋重徳さん(キリスト者学生会総主事)の2人がメインパーソナリティを務めて人気を博した。仕掛け人の細川開(ひらく)さんは、自身も深夜ラジオのヘビーリスナーとしてMCの軽快なトークに耳を傾けていた30代。番組に込めた思いと今後の抱負を聞いた。

――「WTP」が始まったきっかけは?
 パーソナリティーの1人である大嶋さんが、わたしたちが作っている番組「世の光」に出演していて、「もっと自由に気兼ねなく話せる番組があったらいいよね」という話をしていたんです。わたしたちPBAではここ最近、未信者向けの番組しか制作してこなかったので、教会向けの番組を作りたいなと。教会の内側から元気になってもらって、その一人ひとりから福音がより伝わるんじゃないかなと考えました。その後、大嶋さんと親交のある朝岡さんとわたしがつながって、ちょっと3人で打ち合わせでもしましょうかと持ちかけたのが、2015年の夏でした。わたしの中では、もしかしたらそこで録音してしまってもいいかなと思っていました。PBAにとっては、本格的にネット番組を作るのが初めてでしたので、上司の反応は「やってみたら?」という感じでしたね。期待があったのかないのか、どうなんでしょうね。

再開の日を待ちつつ…
「これまでは一方的に伝えた気になっていた」

――番組制作に際して心がけていたことは?
 あまり教派的になり過ぎないことでしょうか。「枠にとらわれず自由に」というのが一番だと思っていましたので、触れない方がいい話題などあまり縛らずに作りました。打ち合わせでそれぞれが思っていること、お便りから拾ってきた話題などをもとにテーマ決めました。2人のパーソナルなところがより出るようにとも考えていました。

――飾らないところが特徴でしたよね。
そうですね、それは狙いとしてありました。牧師も悩んでいるし、普段はくだらないことも話しているし、そういう素の姿から、「ああ、こういう牧師たちの生き方が教会の中でもっと見られたらいいな」と思わされました。牧師やクリスチャンって、いつも神さまのことを考えて何かをやらなければならないというイメージがありますが、そうじゃないと。

――ゲストはどのように決めていましたか?

 これまでPBAに関わっていないような方々がかなり来てくださいました。朝岡さんも大嶋さんも福音派だけでなく、さまざまな教派に接点があるので、そういうつながりから来てくださいました。結果的に、PBAにとっても良い幅の広がりを持てたと思っています。

――放送開始後の反響は想定していましたか?
 分からなかったですね。ネット番組というと、FEBCとかCGNTVとか、他にもあると思うんですが、こちらはそれほどお金をかけられなかったので、広告も出さずに、フェイスブックとツイッターと口コミだけで宣伝してもらいました。だから、どれくらい広まるかというのは想像がつかなかったですね。

――どれくらいの人が聞いていたのでしょうか。
 初回が数約2千人という規模で、おそらく全90回の中で一番多く聞かれたと思います。その後はだいたい500~600人、平均して800人前後です。年代も下は小中学生から上は70代まで、幅広い層の方々が聞いてくださっていました。ユニークユーザー数(放送期間中に訪れた人の総数)は1万人を超えたでしょうかね。

――視聴者の年代も幅広かったようですね。
 最近までPBAのリスナー・視聴者として開拓してこなかったような世代にもアプローチできる番組だったとは思いますし、次の放送伝道を支える、PBAの働きを支えてくれるようなファンやサポーターを作れる契機にはなったと思います。

――惜しまれつつ、3月末で休止することになった理由を教えてください。
 わたしが、制作部門と教会協力の部門を兼任することになったのが大きいです。そして経済的に支援してくださっている地方の教会などとの連携を密にして、PBAの組織そのものの立て直しを図ること、それからPBAもネットの用い方をきちんと方向付けて、「WTP!!」以外の番組もできる土台を作ろうというのが大きな理由です。ただ、番組の中でも案内していますが、不定期的に特別編のような形での放送は予定していますし、再開もいつかしようと話しています。

――休止することについての反応は?
 「やめちゃうんですね」というメッセージはたくさんいただきました。わたし以上に外に出ている、パーソナリティーの2人の方がその声をより聞いているみたいです。先日行われた「リフォユース」でも、声をかけてくださる方が結構いて、「次は何やるんですか?」という期待を込めた質問も多くいただきました。

――これからのキリスト教メディアのあり方についてひと言。
 「WTP!!」で一番反響があったのは、去年のクリスマスにスタジオから行ったライブ配信でした。ユーチューブで配信していたので、そのチャット画面だけで40~50件ほどの書き込みがありました。放送というとこれまでは、一方的に話をして伝えた気になっていた側面があったと思いますが、今はリアルタイムにやりとりができる、ライブ配信などによるインタラクティブ(双方向型)な番組が求められてくると思います。すでに地上波のテレビでもそういう番組が増えていますよね。今さらかもしれませんが。

――今後のPBAについて聞かせてください。
 PBAもどれくらい舵を切れるかは分かりませんが、これからウェブサイトも整えていくにあたって、今までよりさらに用いられる新しい方向性も打ち出せていけたらと願っています。

――ありがとうございました。

*過去の放送はPBAのサイト(https : //bit.ly/2FSlt7a)で聴くことができる。

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