【列島縦断 書店員日記】 店内を巡ることがエンタメになるような書店 内藤優祐(CLCブックスお茶の水店) 2018年5月21日

 イースターが終わってしまうとキリスト教書店は途端に暇になります。閑古鳥の鳴き声が耳に痛いほどです。ここから長い夏の閑散期を通り抜け、9月からまたクリスマスに向け段々忙しくなるのが1年の流れです。

 だからといって夏の間はのんべんだらりとしているわけでもありません。少しでも売り上げを上げるためにない知恵を絞り、ちょっとでもお客様に魅力的なフェアやイベントを提案できないかと日夜考えております(前号本欄で教文館の加川店長が紹介した「キリスト教本屋大賞」はそんな試みの一環です)。

 しかし世の中にはスマホがあり、SNSがあり、ネット配信動画があるので、わたしたちが読書に費やせる時間はどんどん削られています。学生はバイトとサークルに忙しいし、社会人は長時間労働でとても書店に寄る時間と体力は残されておらず、必要な書籍はAmazonからワンクリックで買ってしまいます。そして何より、キリスト教専門書は気軽に買うにはあまりにも高額なものばかりです。

 もはや「書店で本を買う」というのは、現代日本ではお金と時間に余裕のある人の贅沢な趣味になってしまったのでしょう。1人の本好きとしてはとても残念な思いですが、しかし愚痴ばかり言っているわけにはいきません。

 これからは来店すること自体が一つの目的となるような、店内を巡ることそのものがエンターテインメントとなるような書店が求められる時代だと思います。

 豊富な品揃えと、丁寧なホスピタリティと、いつ行っても新鮮な仕掛けのある書店だけがこの出版不況の中を生き抜いていけるのでしょう。当店のような小規模店舗にはなかなかハードルの高い課題ですが、キリスト教書店の灯を消さないためにもがんばりましょう。(ないとう・ゆうすけ)

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