東京レインボープライド2018 キリスト教関係者らが複数のブース出展 誰もが「ほこらしく」生きる社会を 2018年6月1日

 性的マイノリティとキリスト教をめぐり世界各地でさまざまな議論が交わされる中、フランシスコ教皇がメディアの取材に対し、性的指向は「問題ではない」と明言したと報じられた。国内では2012年から行われてきた「東京レインボープライド」(東京レインボープライド主催)が5月5、6日に東京・渋谷の代々木公園で開かれた。当事者の牧会に尽力してきた日本基督教団牧師の中村吉基さん(宗教とLGBTネットワーク代表)と、キリスト教団体の運営側として初めて参加した新畑信さんによる報告を掲載する。

「声上げられずにいる1匹の羊のために」  中村吉基

 「東京レインボープライド」はLGBTをはじめとする性的マイノリティの人々が、差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指したイベントです。「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的指向および性自認(SOGI・ソジ=Sexual Orientation, Gender Identity)のいかんにかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現を目指そうというものです。

 このイベントは2012年から行われていますが、同様のイベントとしては、国内では1994年に「東京レズビアン・ゲイ・パレード」が初開催されたのを皮切りに、毎年、国内各地で途切れることなく開催され、またいく度かの変遷を経て、今日に至っています。今年は2日間のフェスティバルに延べ14万人、そして6日のパレードには7000人が参加しました。

 わたしが今年まで牧会していた日本基督教団新宿コミュニティー伝道所(2004年開設、18年廃止)は、2014年に日本のキリスト教会としては初めてブースを出展。それ以前からスポンサーとして、またパレードには教会員全員が参加して、関わりを持ってきました。

 新宿コミュニティー伝道所は会期中の主日礼拝を代々木公園内で野外礼拝としてささげ、これには、このイベントに関わるスタッフ、ボランティアそして参加者が多く集い、礼拝出席者の所属教派は数十教派にもなり、まさにエキュメニカルな礼拝が毎年ささげられていました。今年のイベントにはこの精神を受け継いでくださった「約束の虹ミニストリー」(寺田留架代表)、カトリック系の「LGBTCJ」(小笠原晋也・宮野亨共同代表)、「虹色のともしび」(嶋田聡美・野宮知弥共同代表)など3団体がブースを出展し、広く当事者たちに、アライ(支援者)たちにアピールしました。

 そして教会から排除されたり断罪されてしまった多くの当事者を受け入れ、共に祈っている姿を、わたしは目の当たりにしました。また有志の仏教者たちはウェディング業界、葬儀業界のブースやパレードに参加しました。

 いちばん嬉しかったことは、わたしがこの1年の間に講演や説教にうかがったキリスト教学校の学生、生徒たちが十数人もパレードに参加してくれたことでした。しかし、まだ日本の宗教界におけるLGBTをはじめとする性的マイノリティに対しての関心は薄く、取り組みもまだこれからというところです。

 日本の性的マイノリティの人口は、国民の13人に1人いるとされています。これは左利きの人口、AB型の人口、そして6大苗字(鈴木、佐藤、田中、高橋、伊藤、渡辺)よりも多い数字になります。そうであるならば、わたしたちの住む地域、職場、そして教会内にも当事者が存在するということになります。今も声を上げられないでいる1人に、1匹の羊に、わたしたちキリスト者は何かができるはずです。(なかむら・よしき

パレードに参加した前橋国際大学の学生ら


「あなたは神様の最高傑作」  新畑信

 いかにしてポジティブな「ことば」を届けられるか。この問いは準備をしていたわたしたち皆に共通していたように思います。キリスト教の世界から未だLGBTQsに差し向けられるのは「地獄に落ちる」「聖書的でない」などといった否定的な言葉の数多であり、そのことで引き裂かれる思いをしている人が今もいます。わたしも同性愛者ですから、その1人でしたし、出会ってきた仲間も同じでした。だからこそ、まさに今そのことで困難を抱える人がいるならば、決して悲観することはない。そんなメッセージを発信したいし、どのようにして形にしたらよいかを皆で話し合いました。そこで生まれたフレーズはわたしたち自身をも奮い立たせ、心揺さぶるものでした。

 ここでそのいくつかをご紹介したいと思います。「LGBTQ×キリスト教=愛、大爆発」――これは横断幕になり、「あなたは神様の最高傑作」「これだけは言いたい!キリストはアライ!」「初めに神はLGBTQを創造された」「誰が何と言おうと神様はみんな大好き!」など、これらはプラカードになりました。また、カトリック・プロテスタント合同で「あなたは一人じゃない」と言葉を添えたパンフレットをつくり、用意していたすべてがはけたのは嬉しいことでした。言葉と共にデザインや色合いも、虹を基調としながら、伝わるものをと考えたのが良かったのかもしれません。当日のことはつぶさに報告できませんが、そこでつながることができた人もいたようです。また先日行われた反省会では、かつてないほど多くの新しい参加者が与えられました。

 わたしの前にあなたがいてくれた。そのことに気づいて、次はわたしがつないでいく。あなたがいつも傍にいてくれて、共に歩んでくれるから。今も、そしてこれからも。紡ぎ出された言葉や表象が、誰かにとって希望の「ことば」となり、蒔かれた「たね」がいくらかでも発芽していくことを心から願います。(しんはた・まこと=日本キリスト教会浦和教会員)

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