【聖書翻訳の最前線】 新約聖書⑥「霊が妬みに燃える」(ヤコブ4章5~6節) 2018年6月1日

⑥「霊が妬みに燃える」(ヤコブ4章5─6節)

 ここは解釈の難しい箇所として有名です。文脈が大切ですので、少し長く引用します。新共同訳からの引用ですが、口語訳も基本的には同じ解釈です。

1 何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いが起こるのですか。あなたがた自身の内部で争い合う欲望が、その原因ではありませんか。2 あなたがたは、欲しても得られず、人を殺します。また、熱望しても手に入れることができず、争ったり戦ったりします。得られないのは、願い求めないからで、3 願い求めても、与えられないのは、自分の楽しみのために使おうと、間違った動機で願い求めるからです。4 神に背いた者たち、世の友となることが、神の敵 となることだとは知らないのか。世の友になりたいと願う人はだれでも、神の敵になるのです。5 それとも、聖書に次のように書かれているのは意味がないと思うのですか。「神はわたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに深く愛しておられ、6 もっと豊かな恵みをくださる。」それで、こう書かれています。「神は、高慢な者を敵とし、/謙遜な者には恵みをお与えになる。」 [新共同訳]

 5節の「神はわたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに深く愛しておられ」という部分が1─ 4節の文脈と合わず、理解が困難です。しかも、5─6節が引用している聖書箇所は他のどこにも見当たりません。そこで、聖書協会共同訳では、その箇所に関わる別の写本を採択しました。すると以下のように理解しやすくなります。

5 それともあなたがたは、聖書が空しい言葉を語っていると思うのですか。私たちの内に宿った霊が、妬みに燃えるのです。6 しかし神は、それにまさる恵みを与えてくださいます。そこで聖書はこう語るのです。「神は、高ぶる者を退け/へりくだる者に恵みをお与えになる。」[聖書協会共同訳]

 つまり、次のような意味になります。「あなたがたの間で争いがあるのは、心の中に争う欲望があり、自分の霊が妬みに燃えているからだ。だが、聖書にあるように、『神は、高ぶる者を退け、へりくだる者に恵みをお与えになる。』」このように、従来訳では難解であった箇所が、理解できるようになりました。

 


(『聖書 聖書協会共同訳―特徴と実例』より)

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