WCC創立70周年のエキュメニカル会議で教皇が演説 総幹事や中央委議長に加わる 2018年6月22日

 ローマ教皇フランシスコは6月21日、ジュネーブで行われた世界教会協議会(WCC)創立70周年のエキュメニカルな会議でイタリア語による演説を行った。

 「ここでわたしが改めて確かめたいのは、カトリック教会は(WCCの)信仰・職制委員会によって実施されている活動の特別な重要性を認めるとともに、高度な資質を持つ神学者たちの参加を通じてその活動に貢献し続けたいと願っているということです」と教皇。

 ローマ・カトリック教会の神学者たちは、1968年よりWCCの信仰・職制委員会に正規のメンバーとして参加している。

 「教会が持つ共通の幻を求める信仰・職制委員会の探求は、道義的・倫理的な諸問題を研究するその活動と共に、エキュメニズムの未来にとって極めて重大な分野を扱っています」と述べた教皇は、WCCの世界宣教・伝道委員会においてカトリックが積極的な存在となっていることや、最近平和のための教育という重要なテーマについて宗教間対話・協力局と協力していること、そしてキリスト教一致祈祷週間の祈祷文を共同で作成していることに言及。

 「わたしは、世界中の多くのキリスト教会や信仰告白において未来の牧会や学術の指導者たちを訓練する、ボセイ・エキュメニカル研究所が果たしている不可欠な役割を高く評価しています」と語った。

 教皇はこの演説で、すべてのキリスト教徒に対し、具体的な慈善の実践においてもっと熱心な友愛を経験し、自らの文化的な発想を絶対化し党派の利益にとらわれるという誘惑に打ち勝つよう呼びかけた。バチカン放送局英語版が6月21日に報じた。

 教皇に先立って、WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事とアグネス・アブオム中央委員会議長が演説。

 「この日は画期的な出来事です。わたしたちはここで立ち止まったりはしません。わたしたちは続けていきますし、わたしたちを必要としている人たちのためにもっと多くのことを一緒にできるでしょう」と総幹事は語った。また、教皇による今回のWCC訪問が、分裂や隔たり、そして対立をいかにして克服できるかを、希望のしるしとして示したと述べた。

 「将来の世代のために、一致と正義・平和の新たな表現を創ることができるようにしましょう――わたしたちが共にもっともっと多くのことを分かち合いながら」

 トヴェイト総幹事は、教皇による今回の訪問が示しているのは、「さまざまな伝統や信仰における信条によって引き起こされる、分裂や隔たり、そして根深い対立を克服することが可能だということ」だと述べた。

 「対立から共同体へと至る道はいくつもあります。そしてもちろん、わたしたちはまだすべての違いや分裂を克服したわけではありません。したがってわたしたちが進んでいくにあたって、聖霊がわたしたちを導いてくださり、わたしたちを一致させてくださるようにと、共に祈るのです」

 「エキュメニカルな巡礼――共に歩み、祈り、そして働く」をテーマとした教皇のWCC訪問。「聖下、貴殿の訪問はわたしたちが共有しているこの希望のしるしなのです。それは教会同士の関係における画期的な出来事です。わたしたちは全世界の様々な教会や伝統の代表者としてここにいるのです」

 2017年には、マルティン・ルターがカトリック教会に抗議してキリスト教の大部分が分裂し、何世紀も反響が続いた宗教改革の500周年を、ローマ・カトリックとプロテスタントのルーテル派が共に記念した。ジュネーブはカルヴァンが宗教改革を行った重要な都市でもある。

 しかしその宗教改革よりさらに500年前に、正教会がカトリック教会と正式に分裂した1054年の大シスマによっても、キリスト教は分裂していた。ルーテル派などのプロテスタントや正教会の多くはWCCに加盟している。

 トヴェイト総幹事は、「過去70年間、共に歩み、祈り、そして働くことによって、わたしたちは、諸教会の交わりであることが何を意味するのかについて、多くのことを学びました」と語った。「それはWCCとローマ・カトリック教会の間の関係が、50年を超える協力を経て、そのように発展してきたということでもあります」

 WCCとその協力者たちの活動が今日持っている横顔は、「正義と平和の巡礼において共にあること」だと説明。さらに、WCCとカトリック教会が、難民の状況や経済的正義と貧困への対処といった問題への取り組みと共に、世界の多くの場所で平和のための共同による率先した活動のために一緒に活動していると述べた。

 「わたしたちの環境に対する気候変動やその他の脅威と闘うために、わたしたちは共に一生懸命に働いています。わたしたちは宗教間対話や平和のための率先した活動を推進しています。わたしたちは持続可能な開発目標のために共に結集しています。わたしたちはキリスト教の一致のために共に毎年の祈祷文を作成しています」

 アブオム議長は、「多くの具体的な状況」においてWCCとローマ・カトリック教会との協力がもたらす果実について語った。

 「ぜひ強調させていただきたいのは、南スーダンで、キリスト教会がお互いを一つとして見ることが、いかに大切なのか、コロンビアの和平の過程のために、正義と平和のための共同の行動がいかに極めて重大か、朝鮮半島の再統一の過程のために共に祈り働くことがいかに力強いか、ブルンジやコンゴ民主共和国で一致した行動がいかに必要かということです」

 ケニア聖公会の会員である同議長は教皇フランシスコに対し、ジュネーブのエキュメニ・センターへの同教皇の訪問が示しているのは、「全人類とすべての神の被造物のための一致に対する教会の責務が生きており、力強い」ということだと語った。

 教皇はこの会議の後、ジュネーブの北に隣接する基礎自治体である ル・グラン=サコネの展示貿易センターでミサを執り行うと共に、スイスの司教団や教皇庁代表からお別れのあいさつを受けて、同日夜、ジュネーブからローマへの帰路についた。

©Albin Hillary/WCC

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