「被爆地ヒロシマから憲法9条による世界平和を」 第6回九条世界宗教者会議が声明文を発表 2018年6月24日

 6月13日から15日まで広島国際会議場(広島県広島市)で開かれた「第6回九条世界宗教者会議」は6月21日、被爆地ヒロシマから日本国憲法第9条による世界平和のために、最近の朝鮮半島情勢の変化などを受けた七つの期待や希望・提案などを表明する声明文を、日本キリスト教協議会(NCC)の公式ウェブサイトに英語と日本語で発表した。

 同声明文は、憲法9条全文の引用に続くその前文で、「今この時、過去のいかなるときにまして、憲法9条は、戦力の使用を放棄する道、堅固 な土台にグローバルな平和を築き上げていくことへの希望を私たちに提供しています」と述べ、 2016年に大阪で開かれた前回の九条世界宗教者会議以来、「世界の状況は絶望と希望の間を行き来してきました」として、今年の6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談を経て今回の九条世界宗教者会議へと至った経緯と歴史的文脈を説明。

 また、この声明文は、「日本政府が、憲法9条第一項での戦争放棄と、第二項でのいかなる戦力を保持することを禁じること による平和の誓約である憲法9条を改訂しようとしていることに深い憂慮」を表明。「9条を変えようとする政府の強引な政策 が朝鮮半島に関する平和的な対話に基づく外交とは逆の方向へと向かっているといわざるを得ない」と批判している。

 「9条の精神は、朝鮮半島の非核化へ向けた平和的話し合いの外交に おいてこそ最も相応しく実行されていくべきものである」と同声明文は主張し、「朝鮮半島の平和的プロセスが憲法9条のアクションを励まし、日本の立憲民主主義を守り、北東アジアにおける非核地帯の構築に向かって広がっていくことを期待する」としている。

 同声明文はまた、「日本政府は、20世紀前半の侵略と植民地主義の歴史を十分に反省し、悔い改め、謝罪し、この反省をはっきりと世界の前で表明しなければならない」として、「それらについて の心からの反省が東アジアにおける平和への土台を形成するのである」と述べている。

 「その行動の実践的な効果として」日本は不戦の誓いとして憲法を守り、日本の侵略と植民地支配に関する日本政府の正式表明を維持 し、慰安婦問題に関する2015年12月28日の日韓合意を撤回しなければならないと述べるとともに、在日コリアンの人権を守って彼らに対するヘイトスピーチを決して許さず、政治家が靖国神社参拝を行うべきではないと主張。

 その上で、「日本の安倍政権が韓国の文政権に不信感を 抱かせ、緊張を生じさせたのは日本の重大な失敗である」と指摘。「朝鮮民主主義人民共和国を一方的に悪者扱いすることをやめ、同国への経済的制裁を撤廃するように努めることがいま性急に求められている」と訴えている。

 同声明文はまた、4月27日の板門店宣言と6月12日の米朝首脳会談における最終表明を通してなされた朝鮮半島の非核化に向けた対話と行動を歓迎。朝鮮戦争の休戦状態から平和条約へと移行することは、「朝鮮半島の分裂と緊張の時代を終結させるものである」として、「この行動が東アジアにおける平和、安定、繁栄の時代へと扉を開くようにと祈り、希望する」と付け加えている。

 そして同声明文は、「全世界、とりわけ北東アジアには、近隣核兵器国による支援と消極的安全保障(NSA)のもとで、非核兵器地帯が作られなければならない」と強調 。北朝鮮と韓国、日本が、核 兵器の開発、製造、配備を禁止し、中国、ロシア、アメリカの関連する核兵器国 が、非核兵器国を核兵器による攻撃ないし攻撃の威嚇をしないというNSAを提供 することを提唱し、「このような地域的安全保障のシステムを構築するために、一連の信頼醸成措置と、コミュニケーションと緊張緩和に向けた強力な道筋を築くことができる定期的な実務レベルの対話を確立するための6ヶ国協議」の開催を主張している。

 そして同声明文は、領土論争について、「すべての当事者が対話と外交的な話し合いを通じて、9条の精神にそってこれらの問題を解決するようにつとめること」を提案。「私たちは、武 力をこれらの衝突を解決する手段として用いることをひかえるように国々に呼びかける」としている。 

 さらに同声明文は、日本と韓国・米国の政府に対し、沖縄や岩国、韓国におけるキャンプ・ハンフリーズなどの在韓、在日米軍基地の重荷を軽減するためにただちに行動をとらなければならないと主張。アメリカ軍がアメリカ本国へ戻るように要求し、「特に、アメリカ海兵隊の日本からの撤退、終末高高度防衛(THAAD)ミサイルシステムの韓 国、ソンジュからの撤退は急務である」と付け加えている。 

 最後に同声明文は、「東アジアのすべての国が、ナショナリズムの誘惑に打ち勝ち、我々の宗教のうちに ある平和を促進する教えと日本国憲法9条、そして朝鮮半島における平和条約キャ ンペーンにならって、非戦、和解、平等、相互尊重、相互利益の関係を築いていくよう期待する」と表明。その上で、「東アジアにおいて、平和のチャンスがまだあると私たちは信じている。危機を煽って、危機を戦争に変えてはならない。いずれの危機に対しても、対話と交渉によって、危機を低め、信頼と安定をもたらすべきである」と結んでいる。 

 なお、この声明文には、「250名」の参加者が「日本(在日コリアンiの方も含む)、韓国、中華民主主義人民共和国、香港、台湾、タイ、インド、オーストラリア、イギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、米国から広島国際会議場に参集 」したと記されている。

 この九条世界宗教者会議はその第1回が2007年に東京で、第2回が 2009年にソウ ルで、第3回が 2011年に沖縄で、第4回が2014年に東京で、第5回が2016年に大阪で、それぞれ開催されてきた(第1回から第3回までは「九条アジア宗教者会議」)。

 NCCはこの声明文の韓国語版もでき次第、近日中に掲載するという。

【NCCサイト】 http://ncc-j.org/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=231

©Taisyo/Wikimedia

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