「板門店プロセス」で平和追求し北朝鮮への制裁解除を 北朝鮮と韓国の教会指導者らがメッセージ 2018年6月24日

 韓国と北朝鮮の両方の教会指導者らによる「朝鮮半島の平和・再統一と開発協力のためのエキュメニカル・フォーラム」(EFK)の歴史的な会議が、6月23日まで2日間、ジュネーブで行われ、「平和を求め」るよう呼びかけるメッセージを発表した。

 EFKは、教会や全国教会協議会、ミッション団体、そして教会関係の開発機関の協力的な努力として、世界教会協議会(WCC)やアジア・キリスト教協議会(CCA)との協力のうちに、さらには韓国キリスト教教会協議会(NCCK)と北朝鮮にある朝鮮キリスト教徒連盟(KCF)の関係に基づいて、奉仕を行っている。

 「板門店首脳会談とそれに続くシンガポールでの米朝首脳会談でなされた約束を実現するための政治的環境を増強するために、わたしたちはすべての国々に対し、この地域における対立や軍事化を控えるよう訴える」と、EFKは6月23日、この会議の終わりにそのメッセージで述べた。

 「加えて、板門店宣言の精神による開発協力に対する障害を取り除くために、わたしたちは北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に対する経済制裁をすぐに解除するよう呼びかける」と、EFKは述べた。

 この会議では、KCFとNCCKからのメンバーが、同じテーブルに着いた。EFKがこの会議を開いたのは、世界教会協議会(WCC)創立70周年記念の年に教皇フランシスコがスイスのジュネーブにあるWCCを訪問し、WCCのオフィスがあるエキュメニカル・センターで北朝鮮と韓国の代表者らに会った翌日のこと。

 今回のメッセージは、KCFとNCCKの代表団が、様々な国々の教会やエキュメニカル組織を代表する参加者たちに伴われて、「朝鮮半島の平和のための最近の進展を、神の尊い賜物・祈りへの応答として、祝い感謝」したと説明した。

 「とりわけ、わたしたちは、分断された朝鮮民族の平和・繁栄と再統一のための、南北朝鮮の指導者による変革の表明として、板門店宣言を祝い是認する」とこのメッセージは記している。

 「朝鮮半島の平和・繁栄と統一のための板門店宣言」は、北朝鮮と韓国の間で2018年4月27日に南北首脳会談で採択された。

 「わたしたちは、『東山荘プロセス』の遺産を継承してそれを板門店宣言の枠組みの中に築く、朝鮮半島の平和と再統一のためのエキュメニカルな関与の歴史における新たな段階である、『板門店プロセス』に対する責務を負う」と、EFKは述べた。

 東山荘プロセスとは、WCCが1984年10月29日~11月2日、東山荘YMCA(静岡県御殿場市)で、「東北アジアにおける平和と正義- 紛争の平和的解決のための展望」をテーマに開催した国際会議(東山荘会議)を起点とする過程のこと。

 この東山荘会議をきっかけとして、北朝鮮と韓国の代表者たちが直接顔を合わせて会合を開いたり、KCFの代表者たちがアジアや北米、ヨーロッパなどの教会を訪問するといった、一連の初めての出来事が始まった。「これらの率先した活動はまとめて『東山荘プロセス』として知られるようになり、朝鮮半島の親善回復の先駆けとして幅広くみなされるようになった」と、WCCは説明している。

 今回のメッセージは、世界中の全ての教会とすべての善意ある人々に対し、EFKと共に板門店宣言の目的を実現する取り組みに加わるよう呼びかけている。

 「わたしたちは、すべての教会やエキュメニカル組織に対し、EFKが行う将来の議論や率先した活動・会合に加わることを検討するよう、幅広く招くものである。平和的共存、再統一、発展、そして共栄を求める朝鮮民族の希望を実現する上で、彼らのためのエキュメニカルな連帯と支援の強化を促進するために」と、EFKは述べた。

 EFKは、次回の会議が朝鮮半島に関する平和会議という形を取るべきであると思い描き、提案した。

WCC中央委も「朝鮮半島の希望に満ちた変化」を歓迎

 EFKの会議に先立って、6月15日から21日までスイスのジュネーブで会合を開いていたWCC中央委員会は、朝鮮半島の平和のための展望について再評価を行った。

 「WCC中央委員会は、核武装した軍事的対立の削減と朝鮮半島の平和的共存、そしてその民族の長きにわたる痛ましく悲劇的な分断の可能な解決に向けた、最近の措置に関する、希望に満ちた確認に加わるものである」と、同委員会の新しい声明文は述べた。

 同声明文は、4月に板門店で行われた韓国と北朝鮮の南北首脳会談を、「核武装による対立の瀬戸際から引き下がり、この地域のより平和的で安全な未来に向けた、重要な第一歩」と称えている。

 この声明文は、すべての当事者に対し、「朝鮮半島の持続可能な平和を確保するために受け入れられた枠組みとしての、板門店宣言の完全な実施」に向けて働くよう求めている。

 同声明文はまた、WCCが率先して行う訪問や交流を継続し加速するよう促すと共に、1953年の休戦協定を実際の平和条約・完全な核軍備撤廃と最終的な再統一に代わる努力を倍加するよう強く求めている。

 同中央委員会はまた、「競争よりもむしろエキュメニカルな協力で、最近の新しい政治的展開に起因する、宣教と奉仕のための新たな機会に応える」よう呼びかけている。

 同声明文はまた、WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事と改革教会世界共同体(WCRC)のクリス・ファーガソン総幹事の引率により、KCFの招待を受けて、5月3日から7日まで平壌を訪問してからすぐ後に続いて出されたもの。

©Peter Kenny/WCC

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