【西日本豪雨災害】 ボランティアを阻む壁 人的資源を受け入れる「受縁力」が必要 岩村義雄(神戸国際支縁機構理事長) 2018年7月21日

 倉敷市対策本部から炊き出しの依頼を受け、避難者数の多い倉敷市立第二福田小学校(福田町)で毎回300食分、約1週間の食材を購入し、同機構のハイエースに積み込み、7月8日の夕食を目指して出発しました。小学校では災害の恐怖体験の傾聴ボランティアもさせていただきました=写真

 同じ倉敷市の真備町からも「助けてほしい」との声があったので、浸水していない場所から炊き出しをするために2千食の食材、ボランティアメンバー、プロパンガスの用意をしました。岡山県庁の危機管理課に申し込んだところ、「部門が違う」「落ち着いてから」「返答を待て」という反応の鈍さで失望しました。2011年の東日本大震災、16年の熊本・大分地震、17年の九州北部豪雨でも、社会福祉協議会やボランティアセンターによる救援の遅れは証明済みです。二次災害の弁解を考えるより、いのち、暮らし、心の復興を「今、すぐに」優先すべきでしょう。

 岡山県倉敷市では小田川左岸の堤防が決壊し、真備町地区(約8900世帯)の4分の1程度の面積が水没しました。市役所支所が浸水や停電で機能しなくなりました。「官」の下部組織だけが動いても、マンパワーが必要なので焼け石に水のようなものです。人命がかかっています。「国は何とかしろ」というボランティア仲間の声も上がっています。

 「ボランティア」と「旅行」は異なります。ボランティアバスについて緩和されたとはいえ、「旅行業法」が大きな壁になっています。ボランティア主催者が「交通費、宿泊費などの報酬を得る」「宿泊の手配など一定の行為を行う」「一般に参加を呼びかける」などをすると「旅行業」とみなされてしまい、旅行業登録をしている(一般的には)旅行会社しかボランティアが実施できないのです。

倉敷市真備町の被災現場

 みんなで復旧、復興、再建に取り組めるようにすべきなのに、学者、行政、政府は上から管理します。エデンの園を追放されたアダムとエバの息子カインは弟アベルを殺しました。その後、カインは「町を建て」ました(創世記4:17)。さらにカインの子孫であるトバル・カインは「青銅や鉄でさまざまの道具を作る」技術者として人類歴史にデビューしました。高慢の極みに達したニムロドは「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。そして、全地に散らされることのないようにしよう」と技術力を誇示しました(創世記11:4)。現代のテクノロジーの萌芽です。専門家はどんな病気、貧困、戦争の危険姓についても技術をもってすれば対抗できると、技術的合理主義を追求してきました。

 コンピューター、オートメーション、大量生産は利便性、快適性、サービスをもたらしました。技術至上こそが人類を幸福にしたと、オウム真理教顔負けの崇拝行為に近似するものになりました。技術=神として、技術を独占支配することが国の権威の裏付けに変貌しました。

 災害大国日本で最も大切なのは「受縁力」です。全国から押しかける名もない、資格もない、ただ思いやりがある多くの人的資源を受け入れ、みんなで助け合う「共感」「共苦」「共生」の国に変えないかぎり、将来はありません。

 被災なさった「貧者」の中に御仏、キリストがおられると信じます。若者が「ボランティア道」に取り組めば、技術、経済、貪欲の価値観から転向する契機になるでしょう。

(神戸国際支縁機構理事長・岩村義雄)

 募金は「西日本豪雨」と明記の上、郵便振替00900-8-58077「一般社団法人 神戸国際支縁機構」まで。

【西日本豪雨災害】 教派・教団・団体による被災状況の報告と募金の呼びかけ(7月20日更新) 2018年7月18日

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