日本YWCA 東医大問題で要望書「女性や少女の人権を踏みにじる不当で不利益な行い」 2018年8月9日

 日YWCA(藤谷佐斗子会長、尾﨑裕美子総幹事)は8月7日、「東京医科大学の女子受験者への得点操作に抗議し、 ジェンダー平等社会の形成を求める要望書」を安倍晋三首相と林芳正文部科学相、東京医大宛に提出した。要望書は、同大が医学部医学科の入試で女子受験者の点数を一律減点していたことに対し、「女性や少女の人権を踏みにじる不当で不利益な行い」と断じ、「すべての教育機関の入学試験において女子受験者に不利益がないかを徹底調査すること」「人々の意識の中に形成された性別に基づく固定的な役割分担意識、性差に関する偏見の解消や人権尊重を基盤としたジェンダー平等観の形成を、教育現場で徹底すること」を求めている。全文は以下のとおり。


東京医科大学の女子受験者への得点操作に抗議し、ジェンダー平等社会の形成を求める要望書

 2018年8月3日の新聞各紙の報道で、東京医科大学が、2018年2月の医学部医学科の入試で、受験者側に説明もないまま女子受験者の点数を一律減点し、女子合格者を全体の3割前後に調整していたこと、同大学内部ではその理由として「女性医師は結婚や出産で職場を離れたり、深夜勤務ができなくなったりする問題があり、これを避けるため」などとされていたことが明らかになりました。

 私たち日本YWCAは、このような女性や少女の人権を踏みにじる不当で不利益な行いに対して、強く抗議します。

 日本政府は、内閣府に男女共同参画局を設置し、2018年の「すべての女性が輝く社会づくり」では、女性活躍の基盤整備に「性別にとらわれず多様な選択を可能とするための教育・学習の充実」や「女性活躍に資する働き方の推進、生産性・豊かさの向上に向けた取組の推進」「男性の暮らし方・意識の変革、男性の産休・育児休業等の取得の促進」等を盛り込んでいます。しかし、日本社会の実態は、今回の東京医科大学にみるように、本来性別に関係なく、受験生一人ひとりの能力を正当に評価しなければならない入学試験においても、恣意的に女子受験者を切り捨てる行いが継続的に行われるような差別的な状況です。これは女性が教育や経済分野で直面する人権侵害のケースの一例であることも予測されます。

 仮に女性医師が結婚や出産により離職を選択し、深夜勤務が難しい現状,だとしても、それは女性にのみ家事労働を求める固定的性別役割分業が背景にあることが理由であり、大学病院側が、性別に関係なく、すべての人にとって働きやすい環境を整えることを怠っている結果にすぎません。これらの状況は、内閣府男女共同参画局の「すべての女性が輝く社会づくり」の方針にも反すると言えます。

 去る7月24日には、文部科学省の前科学技術・学術政策局長が収賄側として同大学への息子のいわゆる「裏口入学」に関わったという問題が明らかにもなりました。さらに同大学は、2013年に女性医師や研究者の育児と仕事の両立を支えるための文部科学省の「女性研究者研究活動支援事業」に選ばれ、3年間で8千万円を超える補助金を受けていたことも明らかになりました。同大学に補助金を拠出する文部科学省の責任も免れません。

 女性の社会的役割を一方的かつ差別的に限定し、女性の就学や職業の選択の機会を奪う東京医科大学と、そのような行為を助長する文部科学省をはじめとする安倍政権に対し、日本YWCAは強く抗議し、以下を要望します。

一.東京医科大学をはじめ、すべての教育機関の入学試験において女子受験者に不利益がないかを徹底調査すること。

一.ジェンダー平等社会を実現していく上で、人々の意識の中に形成された性別に基づく固定的な役割分担意識、性差に関する偏見の解消や人権尊重を基盤としたジェンダー平等観の形成を、教育現場で徹底すること。

以上

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