日本聖公会正義と平和委員会 杉田議員の「生産性」発言受け抗議 2018年8月9日

 日聖公会正義と平和委員会(上原榮正委員長)は8月7日、自民党衆議院議員の杉田水脈氏、二階俊博幹事長、安倍晋三首相に宛てて「LGBT カップルは生産性がない」という主張に強く抗議する文書を送付した。杉田議員には発言の撤回と謝罪、自民党に対しては「性的少数者への差別をなくし、すべての人の平等な権利を守る政治をおこなうために努力することを公に約束」すること、二階幹事長による「多様性を受け入れる社会の実現を図ることが大事で、今後も努力していきたい」との発言を受け、「これを実現するために、このたびのような発言がなされないよう、議員の実効ある意識変革を行うこと」を求めている。杉田議員に宛てた全文は以下のとおり。


「LGBT カップルは生産性がない」という主張に強く抗議します

 あなたは『新潮45』2018年8月号のコラムで「子どもを作らないLGBTのカップルは『生産性がない』ので税金を使って支援する必要はない」という論旨の主張をされました。わたしたちはこの主張によってどれだけの性的少数者が傷つき、苦しんでいるかを思い、断固抗議いたします。この主張は国民一人ひとりの幸せのために働く公僕たる政治家として到底許されるものではなく、人間を「生産性」によって区別することは、憲法13条の「すべて国民は、個人として尊重される」にも抵触するものです。

 人間の性的指向は個人を形作るものであり、それは誰に非難されるべきものでもなく、周囲の人間が決めるものでもありません。性的指向は、善悪や正しい、正しくないなどの判断からは遠く隔たっているものです。これまで沈黙を余儀なくされてきた性的少数者が、偏見から自らを解放する困難な道を歩んでいる今、こういう主張をされていることに激しい怒りとショックを覚えます。

 この主張はまた、障がい者や子どもを産みたくても産めない人々の人権をも踏みにじる優生思想に明確につながるものです。たとえ子どもを作ることのできる条件にある者にとっても、その選択はまったく個人の意志に依るものです。「子どもを作らない」ことを「生産性がない」ことに直結させる考え方は、国民を国のための資源とするものです。これは大変危険な発想です。国が国民のためにあるのです。

 わたしたちキリスト者は、イエス・キリストがあらゆる人のいのちを愛し、尊厳を大切にされたように、人間の尊厳を踏みにじる行為を見過ごすことはできません。

 あなたの主張に強く抗議し、以下の事を求めます。

1.「子どもを作らない LGBT のカップルは『生産性がない』ので税金を使って支援する必要はない」という主張の撤回を求めます。

2.あなたの発言によって尊厳が傷つけられた人々に公に謝罪し、議員辞職を求めます。

3.性的少数者の置かれている状況などを、ひとりの人間として学び、人間の尊厳について考えてください。

2018年8月7日

日本聖公会正義と平和委員会 委員長 主教 上原榮正
日本聖公会正義と平和委員会 ジェンダープロジェクト代表 篠田茜
女性に関する課題の担当者  司祭 大岡左代子、 吉谷かおる

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