被爆地ヒロシマで初開催 第6回9条世界宗教者会議 上田博子氏が報告 2018年8月11日

 「憲法9条による世界平和被爆地ヒロシマから」を主題とする第6回9条世界宗教者会議が6月13~15日、広島平和公園内国際会議場(広島市中区)で開催され、12カ国・地域のキリスト教や仏教など47宗教教団・団体から約250人が集った。同会議は2007年、憲法9条を改正しようという動きに危機感を覚え、「憲法9条こそ世界平和の礎であり、特に東アジアの平和構築に不可欠である」ことを世界の宗教者と共有しようと東京で第1回が開催された。以来、09年ソウル、11年沖縄、14年東京、16年大阪と続き、今回は被爆地ヒロシマでの開催となった。同会議事務局総務の上田博子氏による報告を掲載する。


〝国境越えエキュメニカルな宗教協力を〟
韓国からの参加者は過去最多

 今会議は日本キリスト教協議会(NCC)議長を委員長とする同会議準備委員会と多くの仏教者を含む現地実行委員会が組織されて主宰した。現地実行委員会は会議に先立って行われたフィールドワークでは被爆だけでなく、軍都広島の歴史も学ぶプログラムを準備し、在日朝鮮人の被爆証言者を立てるなど現地ならではのプログラムを組み、会議運営も力強く担ってくださった。

 会議初日にはピースデポ共同代表の湯浅一郎氏が「東北アジアの平和と非核兵器地帯実現のために」と題する基調講演で、現存する東北アジアの冷戦構造を指摘し、軍事力によらない安全保障の枠組みの可能性について言及された。その後、翌日にかけて国内外からの発題があった。

 国内からは岩国ならびに沖縄の基地問題など具体的な状況の報告がなされ、課題が浮き彫りにされた。海外からはスコットランドから望み見た9条、米国現政権とメディアの関係と世界平和、タイからは仏教の視点から日本の開発経済と軍国主義が9条改正を進めていると指摘があり、韓国からは朝鮮半島をめぐる平和的再統一や非核化の情勢などについての見解や意見が述べられ、日本はアジア各地で行った戦争加害責任を正視すべきであるとの指摘が繰り返された。世界の宗教者たちに日本がどのように映っているかを実感させられた時であった。一方、日本の参加者からも戦前戦後の宗教者の戦争協力に対して、きちんと懺悔すべきであるとの発言が多くなされた。

言語別分科会で議論する参加者

 2日目の夕方は公開で海外参加者のリレートークとコメディアンの松元ヒロ氏の講演があった。リレートークでドイツからの参加者は、「グローバル化する世界にあって右傾化した歴史解釈が横行している中、9条を基礎に据え国境を越えたエキュメニカルな宗教協力が求められている時は他にない」と訴え、会場から大きな賛同を受けた。松元ヒロ氏のコメディは、政治風刺が効いたコミカルなもので憲法を擬人化した「憲法くん」が登場するなど会場を大いに沸かせた。

 最終日に声明を発表した後、今回は平和行進ではなく、原爆供養塔前で祈りの集いを開き、仏教・カトリック・プロテスタントの、そして韓国語での平和の祈りがそれぞれの宗教式服を着用してなされた。祈りに先立ち、原爆犠牲者が水を求めて亡くなったことを覚えて献水が行われた。

 史上初の米朝首脳会談が開催された当日にフィールドワークを行って始まった今会議には、韓国からこれまでで最も多い約30人が参加した。韓国NCCが朝鮮戦争を終結させる平和条約キャンペーンを行っている最中で、韓国NCC関係教会をソウルに招いて当会議の前後に協議会を開催し、会議前に日本の関係教会を訪問して当該キャンペーンへの協力を求めた。米朝首脳会議が開催された夕刻には、原爆ドーム前広場で韓国NCCがリードして南北平和統一を祈るキャンドル集会を行い、市民に注目された。

 声明はNCC(日本)ホームページに掲示されており、会議写真集と動画も今後掲示される予定。(うえだ・ひろこ


平和を祈り求める
――日本キリスト教協議会アピール(抜粋)

 夏を迎えるにあたり、改めて先の戦争がアジア諸国に対し、慰安婦問題を含め植民地支配による計り知れない被害をもたらしたことを覚え、神の前に深くその罪責を告白し悔います。国としての十分な謝罪がなされますよう祈って参りましょう。

 (中略)日米安保条約のもとに、沖縄が在日米軍基地の70%以上を強いられる現実を許しています。私たちはそれをも直視し、米軍基地のない沖縄が実現するようにと連帯の祈りをささげましょう。

 ぶつかり合うイデオロギーは、軍拡競争と核兵器・弾道ミサイル開発という形で世界を不安に陥れました。一度核のボタンが押されれば防御不能とならざるを得ないところにまで世界は直面しています。他国を敵視しその脅威を国民にアナウンスすることによって恐怖心や敵意を煽りながら軍備増強の道を推し進めることは、もはやいかなる国であっても真実の防衛にはなり得ません。私たちはそのことを直視して行かねばなりません。本年6月12日にシンガポールにて米朝首脳会談が開催され、武力に依らず、朝鮮半島の南北統一に向かう平和外交の道が明確に示されました。私たちNCCは、この平和外交への道が不可逆なものとなることを、世界の教会と連帯し心から祈ってまいります。NCC加盟教団・団体と平和を作り出す奉仕を分かち合い、現行憲法第九条と立憲民主主義が最後まで守られるように願う次第です。「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」と教えられた主イエスは、戦争を起こす人間の心の中の主の平和を与えてくださいます。主の豊かな恵みと十字架上の執り成しの業に感謝しつつ歩んでまいりましょう。

日本キリスト教協議会
議長 渡部 信/総幹事 金 性済

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