米とトルコの関係が複雑化する一方の実像は謎のまま 2018年8月11日

 トルコの通貨リラ急落が世界を揺るがしている。今日8月13日の株式市場ではアジア各国・地域の株価が軒並み下落した。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はリラの安定に不可欠と見られる政策金利の引き上げを否定、米国に対する強気姿勢を軟化させる兆しはまったく見られない。

 ドナルド・トランプ米大統領の政権は、2016年のクーデター未遂事件に関与したとしてトルコで拘束中の米国人牧師アンドルー・ブランソン氏の解放を強く求め、トルコ閣僚を対象とする経済制裁や関税倍増で圧力を高めている。

 その中で、マイク・ポンペオ米国務長官は3日、トルコのメブリュト・チャブシオール外相と会談した。ポンペオ長官はシンガポールでロイター通信などの記者団に対し、チャブシオール外相との会談は建設的だったと述べた。ブランソン氏を解放し帰国を認め、同様にトルコ当局に拘束されている他の人物も解放すべきだと明確に伝えたとし、「向こう数日間で実現することを期待している」と語った。

 トルコ英字紙『ヒュリエト・デーリー・ニューズ』(電子版)は7日、外交筋の話として、ブランソン氏が長期間拘束されている問題で、トルコと米国が「仮合意」に達し、トルコの代表団が一両日中に米ワシントンを訪問すると報じた。ところがエルドアン大統領は11日、黒海に面するオルドゥでの集会で「米国に告ぐ。これは恥ずべきことだ。戦略的な北大西洋条約機構(NATO)同盟国を牧師1人と引き換えにしている。脅しでトルコ国民をおとなしくさせることはできない」と述べた。

 ブランソン牧師の存在が問題を複雑にしているのは確か。ブランソン氏が保守色の強いいわゆる「福音派」に属しているからだ。政権永続化を図るトランプ氏にとって頼りが、米国キリスト者の4分の1を占めるとされる「福音派」であり、その支持を失うことは避けたいところ。それを見越してか、米・トルコ双方に緊張緩和を図る動きと、強化する情報が交錯し、「フェイク・ニュース」論議もからんで、メディアを混乱させている。(SKJ・CS)

AFP

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