8・15集会各地で開催② 難民申請の実態から提言(カトリック東京教区) 2018年9月1日

 カトリックでは毎年8月6~15日を平和旬間としている。東京教区は11日、「難民とともに生きる、日本社会の未来」と題した講演会を、カトリック麹町教会(東京都千代田区)で行い、約200人が参加した。

 開会に先立ち菊地功東京大司教は「現在、教皇が呼びかけ、カリタスが主導し、難民・移住者たちの命と尊厳が守られるため『排除ゼロキャンペーン』を行っていることもあり、平和旬間で難民問題を取り上げるよう提案した。この問題に教会やわたしたち一人ひとりがどう取り組んでいけるのか一緒に考えたい」とあいさつした。

 講師として招かれた弁護士の駒井知会(ちえ)氏(関東弁護士会外国人の人権救済委員会元委員長)は、日本における難民申請の実態を解説した。

 同氏はまず、日本が二つの国際文書「難民の地位に関する条約」(1951)、「難民の地位に関する議定書」(67)に加入していること、文書では難民について、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であることや、政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるなど、十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者と定義されていることを紹介。2017年に来日した82カ国、約2万人の難民申請者の内、難民認定されたのは45人で0.19%に留まっている。同年のドイツが25.7%、米国が40.8%、英国が31.7%など、他の庇護国に比べ、極端に低い認定率である。その背後には難民申請の壁があり、空港で難民申請をするとほぼ100%の確率で入国管理局、管理センターに収容され、認定処分結果が出るまで2~7年ほど拘束されるという。

 被収容者に対する医療の不備や、長期拘禁による心理的負担など、処遇面の問題を指摘。収容先での医療不備による死亡事故や、自殺者が後を絶たない現実を訴えた駒井氏。

 16年に関東弁護士会連合会が難民認定手続きの可視化などを求め、難民認定申請者127人から聴取したところ、難民審査参与員による申請者への暴言や暴挙が日常化している実態が浮かび上がったという。

 「わたしたちは自分たちの人権が守られていると錯覚しているが、今、弱い立場の人を守っていない社会が、わたしたちの立場が弱くなった時にその人権を守ることはないのではないか」「わたしたちは、難民をフェアに扱うことを心に留めるべき。難民の方々に会った時に温かい声をかけるだけでも、彼らを支えることにつながる」と結んだ。

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