【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 み言葉に生きるのは楽しい? キョウカイブルー 2018年9月1日

 気晴らしに中国に行ってきた。晴れない心があったのかと問われれば、そういうわけでもないし、中国の空はわたしの知っている空よりも濁っていて「晴れ渡る」という感覚からは遠かったのだけれども、確かな解放感があった。もちろん中国の社会が解放的であったというわけではない。政治状況は日本と同じように閉塞しているし、迂闊なことを言える空気でもない。しかし、間違いなく、ここにも人間が生きていることを実感することができたのだ。

 数日の滞在で毎日朝市に出かけ、露店でご飯を食べた。お気に入りは揚げパンにニラやニンニクで強く味を付けた薄い卵焼きが巻いてある食べ物で、名前なんて分からない。ニワトリとカモの血をゼリー状に固めて鳥の内臓で出汁を取った濃厚スープを一緒に食す。こんな朝ごはんが続くんだから、元気にならないわけがない。

 そのまま市街地へ出ると、道端で何かを販売している人がやたらと多い。地下鉄の構内でもイチジクや大きなチェリーなどを買いながら食べ歩く。そして、美術館などの公共施設に入場するために並んでいると、列の真っただ中でハンディ扇風機を売っている人に出くわす。この人はいつから列の中に入り込んでいたんだろうか、施設関係者はこのような人を排除したりしないのだろうか、などと疑問を抱く。

 とにかく施設が大きいし広い。美術館を出て、これから駅までのちょっとした距離を暑い日差しの中で歩くのかと考えていたら、中年の男女が軽やかにシャーッと滑ってきた。足元を見てみると堅いゴムバンドで固定した車輪がスニーカーにくっついている。そして、わたしの目の前に箱を突きつけてきた。車輪だ。「これをスニーカーに取り付ければ長い距離を歩かなくてもいいんだぜ」的な笑顔が眩しい。

 わたしは、自分の脳内の思考が漏洩しているのかと思ったし、彼らは人間の心が読めるのかと本気で驚いた。売っているものを食べたくなったり、暑いと思っていたら扇風機、歩きたくないと思っていたらローラースケート。中国では誰もがわたしの要求(あるいは欲望)にくすぐったいほど気の利いた提案をしてくるのだ。

 夕方、この旅の最大の目的だったプロテスタント教会の青年集会に参列するため、教会へと続く長い並木道を歩いていく。前にも後にも、おそらく同じ目的地を目指す若者がたくさん歩いている。開催時間まで余裕をもって会場教会に到着すると、すでに座席の半分以上が埋まっていた。教会のロビーや廊下では友だち同士でおしゃべりが盛り上がっているし、日本の教会でも見られたらいいのにと強く思える光景が広がっている。

 やがて青年集会もにぎやかな賛美と共に始まり、二胡や三弦といった伝統的な楽器と共に奏でる穏やかで余韻の残る賛美に心を振るわせながら閉じられていった。

 そうなのだ。気晴らしに出かけた場所でブルーが出会ったのは、自分の人生を目一杯に楽しもうとする個人であり、自分自身の要求を素直に理解した人がビジネスする場面の数々であった。「あなたがしてもらいたいと思ったことを、あなたも行うのです」とのみ言葉をポジティブに実行していくと、わたしの出会った人々のように自然とわたしの心の隙間を(良くも悪くも)埋め合わせてくれるような体験ができるのかもしれない。み言葉に生きるってのは本質的に楽しいことなんだと気づかされ、明日からもキョウカイジャーがんばろうと思ったよ。

キョウカイブルー
 青葉良好(あおば・りょうこう)革新的なテクノロジーには目がないインテリ系電脳牧師。クールに見えて実はツンデレ。電子機器を駆使して仕事をどう能率良くできるか、いつも考えている。メンバー内では最年長。武器:最新型タブレット「なんでもできるホン」/必殺技:プチニンノーダー(整理整頓)/弱点:新型ガジェット

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