【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 真実なつながりを求めて キョウカイグリーン 2018年9月11日

 衆議院議員である杉田水脈(みお)さんが「『LGBT』支援の度が過ぎる」という文章を『新潮45』2018年8月号に掲載し、大きなニュースとなった。わが教会の会員であるLGBTの方も大きな怒りと悲しみを抱えていた。「『生産性』がない」という発言は、LGBTの方々に限らず異性愛者のカップルでもいろいろな事情で子どもを産むことのできない人たちに、税金を使うことを否定するかのような表現は誠に残念なものであった。LGBTの人たちに対し「性的嗜好」という表現を用い、食べ物の好みが変わるかのように同性愛者から異性愛者に変われるかのような表現をしたことも残念であった。

 このニュースをきっかけに同性愛者であることをカミングアウトしたロバート・キャンベルさん(東京大学名誉教授)は「当事者からすると、むしろ生を貫く芯みたいなものだと捉える人が多いに違いありません」と語っており、ころころ変わるような好み=嗜好ではないことを伝えている。

 わたし自身としては、杉田議員のLGBTへの無理解を残念に思うことしきりであったが、ネット上を見ると、杉田議員に賛同する声もそれなりにあることに気づく。理解が深まることを願うが、どうにも埋められない分断を目の当たりにしている。

 LGBTの話をいろいろな方としていて痛感するのは、カミングアウトしたLGBT当事者と親しい関係を持っているか否かで理解度・関心度が全然違うということだ。「LGBTの当事者に会ったことがない」という人もいるだろうが、血液型のAB型の人口、左利きの人口と同じくらいいると言われているので、会っているけれど、気づいていないという方が正確だろう。LGBTに対して差別をしていないと思っていても、当事者からすると安心してカミングアウトできる環境が整っていない現実がある。わたし自身、当事者との関わりがあって初めて理解しようと努力し始めた一人である。当事者との関わりがない人と話すと、その人の妄想の中のステレオタイプなLGBTの人を前提に話されるので話がかみ合わないことが多い。

 杉田議員のウェブサイトを見ると、趣味が、読書、旅行、カラオケと書いてある。「杉田さん、共通の本をいっしょに読んで感想を語り合いませんか」「割り勘で旅行に行きませんか。カラオケ行きませんか」と繰り返しお誘いしてはどうだろうか。「議員辞職しろ!」よりも「お誘いし続けているのに相手にしてもらえなくて残念です」と言う方が社会的なインパクトが強いようにも思う。また杉田議員自身、当事者とガチンコで出会わなければ、LGBTの方々をステレオタイプに決めつけて終わることになりやすいのではないか。

 ……と書いたものの、「われわれの尊厳を傷つけた人とそんなことができるか!」と怒られそうだ。ただ主イエスを思い起こすと、富裕層で親ローマ的のサドカイ派にもおもねらず、貧困層で反ローマ的なファリサイ派とも違う独自の歩みをした。だから、どちらの派からも嫌われて十字架に架かることになった。杉田議員の支持派とも辞職要求派とも違い、相手のふところに飛び込み、友となろうとして理解を求める……。それはLGBTに限ることでもなく、それぞれが抱える「分断」や「無理解」の中、真実なつながりを求めて身を投じていく姿勢であり、それこそがキリストに従う歩みのように思う。

キョウカイグリーン
 緑方定助(みどりかた・じ ょうすけ)地域のパパ友・ ママ友との交流が広く、日々育児日記をつづってい る育児系ブロガー牧師。何よりも 愛する家族を最優先し、困ったら一目散に逃げる。息子・承太郎といつも一緒。 武器:共感イヤー/必殺技:宣言アタック/弱点: 妻

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