〝律法的な束縛ではなく希望を〟 性教育研究会で大嶋氏 2018年9月21日

 キリスト教性教育研究会(水谷潔会長=日本福音キリスト教会連合春日井聖書教会協力牧師)が主催する公開研究大会が8月23日、日本基督教団富士見町教会(東京都千代田区)で開かれ、約50人が参加した。11回目を迎える今回は「よりよい生き方を求める性教育――理想と現実の狭間で」を総テーマとし、大嶋重徳氏(キリスト者学生会=KGK=総主事)=写真左=が「性の混乱期における聖書的性教育の伝え方――信仰のリアリティとともに」と題して基調講演。次いで後平一(保守バプテスト連盟恵泉キリスト教会関宿チャペル牧師)、小林宏繁(前自由学園教諭)、椙井小百合(前公立小学校養護助教諭)の3氏がそれぞれ、教会、私立校、公立校の現場から実践報告を行った。

 大嶋氏はこれまでに受けた相談事例などから、「清い空気」の教会でタブー視された性の問題について誰にも相談できず、自身の性衝動に葛藤を覚え、「性的罪」が原因で教会を離れる青年も多いと紹介した上で、牧師のセクハラ、夫婦間のセックスレス、LGBTについても「教会の課題でありながら、これまで避けてきたのではないか」と指摘。

 「霊肉二元論」に陥りやすい性のテーマを人間の創造の意味から語る重要性を強調し、「堕胎、中絶の悲惨さなど命の尊さの観点から説明することは重要だが、性に対する否定的な感情を醸成することになる」と述べ、「してはならない」という律法の束縛から「あえてしない」という福音の希望を語るべきと主張した。また、「大切なことは牧師が(性の問題に)勝利したという姿勢で話さないこと。聖書の言葉を語りつつも葛藤してきた人生を誠実に語ることが必要」と話した。

 中盤では、日本基督教団中部教区バイブルキャンプで語った講義の一部を実際に模擬授業として展開してみせた。

 質疑応答ではLGBTをめぐる質問も出され、後平氏が「先天的なもののように言われているが、そうではないのではないか」と答えたのに対し、大嶋氏は個人的見解と断った上で「教会では癒し得る病として語られることもあるが、これまで出会ってきた当事者の学生を思えば先天的なものではないとは言い切れない。死をさえ選びかねない神への絶望を抱くような同性愛感情や同性愛的指向まで罪だと思う必要はない。ただ、聖書が同性婚を認めているとする根拠はない。当事者に寄り添って生きること、教会内での継続した学びが必要」と応じた。

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