国際基督教大学の卒業生に「伝道・献身者」が多い理由 第3回「集い」参加者に聞く 2018年9月20日

 「国際基督教大学(ICU)出身伝道・献身者の集い」が9月17日、同大学礼拝堂(東京都三鷹市)およびアラムナイハウス(同窓会会館)で開催された。創立50周年にあたる1999年に初めて開催され、2009年の2回目を経て3回目となる今回は、約60人の牧師・司祭、教務教師、キリスト教教育機関の代表、キリスト教団体専任職員らが顔をそろえた。

 記念礼拝では、松谷曄介氏(2003年卒業、日本基督教団筑紫教会牧師)が「聖なる貧乏くじ」と題して説教を行った。伝道の最前線にあり苦悩する自分自身、同労者を描き出しながらも、その労苦の日々を聖なる恵みとして受ける決意を静かに、熱い思いを込めて語った。記念撮影の後の懇親会では、エミール・ブルンナー博士や長(武田)清子教授、古屋安雄牧師・教授ら故人ゆかりの「ICUの『C』クイズ」で盛り上がるなど、笑顔の交流の時となった。

 ICUは第二次世界大戦の反省に立ち、「国際的社会人としての教養をもって、神と人とに奉仕する有為の人材を養成し、恒久平和の確立に資すること」を目的に、世界のキリスト教諸派の協力により創立された。建学以来、伝道者養成学科・コースは存在しないため、召命を受けた人はそれぞれの召しに従って卒業後に神学校に進む。かつては教授陣が兼任するなど東京神学大学との結びつきは現在も強いが、それでも出身伝道者の教派は、カトリック、聖公会、ルーテル教会、バプテスト、改革派、福音派、日本基督教団、無教会等多岐に渡る。これも多様性を是とするICUらしい。

 伝道の働きに従事している卒業生の数は長らく把握されていなかった。「集い」実行委員会では、20年の間に主に人づてに出身の伝道・献身者を探し出し、現在では約200人が出身伝道・献身者のリストに掲載されている。ICU卒業生(学部・大学院)総数約2万7200人と比してみても、多いと言ってよいだろう。

 その理由をどこに見出すか出席者に聞いてみた。ICU名誉教授、ICU教会名誉牧師の永田竹司氏は「伝道者養成を第一目的とする神学部と異なり、リベラルアーツ大学として『生きるとはどういうことか、自分はこの世界に何を為すか』という真摯な問いが先にあること」、KGK主事の鎌田泰行氏(2003年卒業)も「どう生きるかという対話を学生時代に仲間と重ねたことが、その後留学した先での受洗に関わっていると思う」と話す。

 同大教授・学務副学長であり自らも在学中に召命を受けた(1979年卒業)森本あんり氏は「キャンパスの中心に地域に開かれた教会、日曜礼拝が行われている生きた教会があること」を第一に挙げた。また、授業以外で学生がキリスト者としての教員の姿に触れる機会が多いことも影響するのでは、とも。

 この日の「集い」は、東京神学大学理事長の伊藤瑞男氏(1960年卒業)の「ICUから伝道者を送り出すことがICUを強くする。そのためにも伝道者卒業生が語り合い、研鑽し合う会を10年に一度ではなく、もう少し頻繁に開きたい」という励ましと祈りをもって閉会された。

 なお、「集い」実行委員会ではリスト掲載者の確認・探索を続けており、「ICUの学部・大学院卒業生で按手を受けた牧師・司祭、牧師などのパートナーで共に伝道を担う方、キリスト教主義教育機関の教務(宗教担当)教師、キリスト教教育機関の代表者などで、2018年第3回目の集いの連絡が手元に届かなかった方は、連絡してほしい」と呼び掛けている。

 連絡は「ICU出身伝道・献身者の集い実行委員会」(ICU宗務部内 e-mail: icuchurch2016@gmail.com Tel 0422-33-3323 大学牧師・北中晶子)まで。

(ライター・栗山のぞみ)

【参考】国際基督教大学同窓会 https://www.icualumni.com/

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