「人間の尊厳」テーマに日本基督教学会 第66回学術大会 2018年9月24日

 日本基督教学会(片柳栄一理事長)第66回学術大会が9月11~12日、南山大学(愛知県名古屋市)で「キリスト教からみる人間の尊厳」をテーマに開催され、2日間で延べ260人以上が参加した。

 初日、ハンス ユーゲン・マルクス氏(藤女子大学学長)が主題講演。「尊厳」理解をストア派などリスト教以前から通史的に概観した上で、「原罪」理解と人間の自由との功罪について論じ、15世紀イタリア人文学者ピコ・デラ・ミランドラなどを紹介した。

 主題講演後には、今大会より始まった若手研究者イニシアティブ企画としてワークショップ「キリスト教研究者としてのスキルを考える」も開催。牧師をしながら中国キリスト教史研究を続ける松谷曄介氏(日本基督教団筑紫教会牧師)や 藤原佐和子氏(東北学院大学講師)らが、研究者としての生き方、視野の広げ方などを大学院生ら若手世代と共有した。

 翌日、シンポジウム「いま、人間の尊厳を考える」では、左近豊(青山学院大学教授)、佐藤啓介(南山大学准教授)、小松原織香(同志社大学嘱託講師)の3氏が登壇=写真。まず左近氏が、旧約聖書から「人間の尊厳」の思想的根拠を創世記や哀歌から指摘し、議論の土台を設定。続いて、佐藤氏がカントの理性的存在者としての人間の尊厳、根源的悪の問題を介して、リクールの「赦し」へとつなげた。小松原氏は、性暴力被害者の支援活動に携わった経験から、「修復的司法」という方法論を紹介。被害者と加害者の関係性における「赦し」の問題を明らかにし、「尊厳」回復のための実践を紹介した。

 両日ともに、午前中、4会場で30題目の個人研究発表がなされた。その他、日本キリスト教学会など関係諸機関が鋭意準備中の「キリスト教大事典」の編集委員会も開催された。出版されれば、約50年ぶりの改訂新版となる。学会に参加したアウグスティヌス思想の研究者、渡邉蘭子氏(日本学術振興会研究員)は「多彩な発表だけでなく、ワークショップからも研究者としての今後を考えて深める良い機会となりました」と語った。

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