語られなかった戦争被害者 BC級戦犯について学ぶ会  2018年10月1日

 東京YWCA(川戸れい子代表理事)は9月13日、「BC級戦犯を知っていますか?」と題する勉強会を東京YWCA会館(東京都千代田区)で開催した。講師を務めたのは、日本アジア関係論を専門とし、『戦後補償から考える日本とアジア』(山川出版社)などの著書をもつ内海愛子氏(恵泉女学園大学名誉教授)。約40人が参加した。

 同氏は、A級戦犯が戦争を指導した将校クラスであるのに対し、BC級戦犯は「上官の命令に従い任務を果たした兵隊や軍属」で、連合国側から戦犯と判定された人たちであること、処刑されたA級戦犯が25人なのに対し、BC級戦犯の被告は5千人を超え、約1千人が死刑判決を受けたこと、日本ではA級戦犯ばかりが紹介され、BC級戦犯については語られてこなかったことなど、両者の違いについて解説した。

 敗戦翌年の1946年から3年をかけて裁判が進められたA級戦犯に対し、BC級戦犯は、戦場だったアジアなど49カ国で十分な通訳も弁護士もつかず順次裁かれ、絞首刑や長期刑が執行された。

 A級戦犯は52年発行のサンフランシスコ講和条約以降処遇が改善、刑死した戦犯は法務死と認定され軍人恩給支給の対象となったが、BC級戦犯は捕虜収容所の監視にあたった者も多く、階級が下の者、年齢の高い再雇用者や傷痍軍人、また日本の国策で雇用された朝鮮人、台湾人軍属が占めた。アジア人軍属はサンフランシスコ講和条約により日本国籍を離脱したとみなされ、戦傷病者戦没者遺族等援護法からも外された。日本の軍属として裁かれながら、日本人が受ける援護は拒否されたことになる。

 内海氏は「BC級戦犯は、わたしたちと同じ一般人。命令に抗えない軍隊で個人の責任をどう考えるのか。もし自分だったらという視点で捉える必要がある」と問い、「戦争犯罪は欧米人に対しての行為を問うもので、アジア人に対する被害は未調査。BC級戦犯のアジア人軍属も含めて、アジアと日本での戦争認識のギャップを知っておかなければ国際的な対話はできない」と訴えた。

 東京駅丸の内南口広場には、戦犯処刑者たちの遺書を編纂した遺稿集『世紀の遺書』(巣鴨遺書編纂会刊行事務所、1953年)の印税で建立されたBC級戦犯を記念する「愛(ルビ:アガペー)の像」がある。1955年に設置され、駅改修工事により2007年に撤去されたが、昨年末に再設置された。今回の勉強会は、この像に祈りを奉げるための事前勉強会として開かれた。

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