日本基督教学会 深井智朗氏への公開質問状と回答を学会誌に掲載 2018年10月3日

 日本基督教学会は、9月11~12日の第66回学術大会開催に合わせて発行した学会誌『日本の神学』57号(2018年版)で、「質問と応答・会員から会員へ」と題し、同学会員である小柳敦史氏(北海学園大学准教授)による深井智朗氏(東洋英和女学院院長)=写真=への公開質問状と、深井氏による回答(暫定報告)を掲載した。

 同誌によると、小柳氏から学会三役(片柳榮一理事長、土井健司専務理事、芦名定道学会誌編集委員長=いずれも当時)宛に連絡があったのは2018年2月。協議の結果、公正を期するため、小柳氏と深井氏による学会誌上での公開された質疑応答という形となった。5月、深井氏より「十分な調査の上で回答したい」旨の回答を得たが、本号で「学会員全体で共有するのが望ましい」との判断から、深井氏の同意の上で、小柳氏の質問状、深井氏よりの回答、芦名委員長による経緯の説明を「暫定報告」として掲載するに至った。

 芦名氏によれば本件掲載の理由は、日本基督教学会の倫理規定にあるように、「学会とは研究者が相互の研究内容に関して検証を行う場であると考えるからであり、その意味で、問題を全体に周知することが必要であると判断したから」である。その上で、「研究者が自らの研究を論文、著書などで公にする場合、剽窃(ひょうせつ)・盗用・二重発表・二重投稿(そしてデータの捏造)とならないように細心の注意を払い、研究を公にした後も、それに疑義が示された場合には責任を持って対応すること、そのために研究に際して使用した資料はきちんと保管し必要に応じて検証可能なようにするという研究者倫理の意義を再確認するには、暫定報告で十分」としている。

 小柳氏の質問状は、深井氏による『ヴァイマールの聖なる政治的精神――ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』(岩波書店、2012年)などの注と資料の実在に関する問題2点を提示。「深井氏が我が国におけるドイツ・プロテスタンティズム研究の第一人者と目され、多くの読者を獲得しているだけに、現在の状況が放置されると信頼性の危うい情報がますます広く流通することとなります」「かねてより指摘されていた、注の不備や誤訳にも適切にご対応いただき、深井氏の著作を学問的な文章として読める状況が整えられることを切に希望します」とした。

 対して深井氏は、「定められた頁数の中で書いた原稿で、注や参考文献を途中かなり削り、内容も行単位で規制されて書き、校正する中で、注については割愛せざるを得ませんでした」「誤りがあれば訂正し、問いにお答えしなければなりません。その準備はもちろんいつでもあります」と応じた。なお深井氏は、すでに日本基督教学会を退会している。

 芦名氏は、「問題の核心点の解明には至っておらず、さらに深井会員による最終調査の確認が必要ですが、学会誌での取り上げは今回で区切りとせざるを得ません。場合によっては、最終決着は場所を移して行われることになるかもしれません。ともかくも、以上によって、学会員のみなさまに研究者倫理についての注意を喚起するという目的を果たすことができれば」と結んでいる。

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