核廃絶に向け宗教者がシンポ 「今こそ気合い問われる時」 2018年10月11日

 唯一の被爆国でありながら、我が国は核兵器禁止条約に署名していない。この問題をテーマに「核兵器禁止条約と日本の宗教の役割」と題したシンポジウムが9月20日、上智大学(曄道佳明学長、東京都千代田区)で開催され、約200人が参加した。同学大学院実践宗教学研究科、ベグライテン(関根和彦代表世話人)、ミシュカの森(入江杏主宰)が共催した。

 登壇したのは、川崎哲(核廃絶国際キャンペーン国際運営委員、ピースボート代表)=写真、神谷昌道(立正佼成会軍縮問題アドバイザー)、戸松義晴(全日本仏教会事務総長)、光延一郎(イエズス会司祭)の各氏。5人による講演の後、シンポジウムが開かれた。

 開会に先立ち司会の島薗進氏(同学大学院教授)は、「核兵器廃絶に向けて、日本の宗教界も力を示すべき。川崎さんの話を聞き、宗教界でどのように活かしていくかを考えたい」とあいさつ。

 「核兵器禁止条約と世界平和のビジョン」と題して発言した川崎氏は、同条約と核兵器を取り巻く国際社会の状況について解説した。「1980年代にはすでに『勝者のいない核兵器は、大量破壊兵器であると同時に自殺兵器』と言われていた。宗教、倫理、道徳の観点で捉えた時、核兵器と国際人道法の両立は不可能。昨年採択された核兵器禁止条約に核保有国は加入していないが、同条約が保有国に対する圧力になっていくことが目標」。また、国際社会で核兵器を取り巻く意味が「力の象徴から悪の象徴」へと変化してきたとし、「核兵器に頼る世界を排除し、正常な世界を取り戻さなくてはならない」と訴えた。

 宗教界については、「ローマ教皇の核兵器廃絶に対する動きは、人々の心を奮い立たせている。宗教の役割は、核は廃絶するべきという新しい潮流を伝えていくことだ」と言及した。

 神谷、戸松、光延の各氏は、それぞれの立場で宗教倫理と核兵器とが相容れないことを宣言し、核兵器禁止の声明を打ち出してきた経緯を報告。

 光延氏は第二バチカン公会議(1963年)で教皇ヨハネ23世が発表した回勅に、核兵器の禁止が盛り込まれていることを紹介し、戸松氏は「仏教界は、核兵器禁止の声明は発表してきたが、具体的な行動はとってこなかった」と振り返った。

 シンポジウムで川崎氏は、高齢化で被爆者がいなくなっていくことで日本が米国の核の傘下になり下がることを危惧。戸松氏は、中高生らと交流した際に、「人が悲しまない社会の実現が大切」と語っていたことを紹介、若い世代は社会の原点を理解していると発言。

 今こそ核廃絶に向けて、宗教者としての気合いが問われる正念場だと各氏の意見が一致した。

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