WCC総幹事 気候変動に関する報告書の警告に反応「〝グリーン〟に考え行動を」 2018年10月13日

 地球温暖化の影響について国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が最近発表した報告書に応えて、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は10月12日、「わたしたちがなすあらゆることにおいて〝グリーン〟に考え行動をしなければ」と述べた。

 「人間の経済活動の中でもとりわけ、化石燃料の利用や、食料の持続不可能な生産、そして森林破壊は、気候に対して曖昧さのない影響をすでにもたらしているほど、温室効果ガスを増大させてしまいました」とトヴェイト総幹事は述べた。「この報告書は、気温上昇の影響が以前に予測されていたものよりさらに深刻になると述べています」

 信仰者としてわたしたちは貧しくされた人たちや弱い人たちを常に自らの祈りと行動のただ中にすえなければならないと、トヴェイト総幹事は続け「わたしたちは沈黙して受身的なままであってはいけません」と述べた。「わたしたちは皆できることをする必要があるのです」

 また、各国政府や企業、教会、そして個人には皆それぞれ役割があると加えた。

 「わたしたちがなすあらゆることにおいて〝グリーン〟に考え行動をしなければなりません。(WCCがある)ジュネーブにあるエキュメニカル・センターの全面的な改造計画と、そこにいくつか新しい建物を建てるための計画(「グリーン・ビレッジ(緑の村)」計画)に向けた過程を、わたしは世界教会協議会の総幹事として指揮しています」

 同総幹事は、グリーン・ビレッジの所有者となる一つの条件として、この新しい建物と公園の建造で、エネルギー効率や水の管理、生物多様性においてだけでなく、現在進行中の共同体としてのグリーン・ビレッジの運営においても、質の高いエコロジカルな認証を取得する責任を負うべく、投資者たちを納得させるために自らの影響力を行使すると誓約した

 「人類がこれまで直面してきた課題の中でおそらく最大の地球規模のものに対してあなたとわたしがすることは、大海原の一滴にしか見えないかもしれません。しかし、これが変革の波へと変わりうるのです」

 世界の主要な気候学者などからなるIPCCは10月8日、韓国の仁川(インチョン)で、各国政府によって承認された「1.5度の地球温暖化に関するIPCC特別報告書」=写真=を発表した。

 IPCCは、地球の平均気温はすでに1度上昇しており、その影響がとりわけ異常気象の増大や海水面の上昇、そして北極の海氷の減少といった形で起きていると説明。それが1.5度以上増大すれば、一部の生態系の喪失といったような、永続的または取り返しのつかない変化を伴う危険性が増大すると警告した

 その上でIPCCは、地球温暖化を1.5度に抑えるには、急速かつ遠大でかつてない変革が社会のあらゆる側面において必要となると述べ、すでに行われている対策を加速させる必要があるとした。

 世界で初めて「持続可能な社会」という概念を打ち出したWCCは、1990年ごろから気候変動に関する国連の国際交渉に関わり続け、2015年にパリ協定を採択した気候変動に関する国連会議にも代表団を送った。WCCは、気候変動の原因と被害者を視野に入れたその神学的・倫理的・霊的な次元について、被造世界を大切にし気候をめぐる正義(care for creation and climate justice)をその活動の中心の一つにすえている。

 こうした動きと並んで、気候変動による災害の被災者への支援や祈りの連帯、地域の教会で省エネや自然エネルギーの活用を進めるグリーンな教会づくり、政府や企業への政策提言、そして近年では二酸化炭素などの温室効果ガスを出す企業や原子力産業からの投資撤退も、WCCやその一部の加盟教会の間で進められてきている。

 日本でも1997年に京都で行われた国連の気候変動会議をきっかけに、キリスト者を含む宗教者が、来日したWCC代表団と共に地球温暖化防止を訴えた。福島第一原発事故を経て、日本の宗教者がこの報告書にある警告にどのように応えるのかが問われている。

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