柴山文科相「教育勅語」発言 平和をつくり出す宗教者ネットが抗議 2018年10月17日

 柴山昌彦文部科学相が10月2日の就任記者会見で、「『教育勅語』は現代的にアレンジした形で今の道徳などに使えるという意味で普遍性を持っている部分があり、検討に値する」と発言したことを受けて18日、平和をつくり出す宗教者ネットは衆議院議員会館で記者会見を開催し、共同声明を発表した。

 声明は、1948年の衆参両議院で「教育勅語」の排除および失効確認が決議されていることを指摘。「教育勅語」のどの部分が今も使えるか問われた際、「同胞を大切にする」「国際的な協調を重んじる」という部分だと返答したことに対して、「同胞を大切にする」という理念を「非人道的な『教育勅語』の文脈」から引き出す必要はなく、また、「国際協調」が語られている部分はないと反論。その上で、柴山大臣の「教育勅語」発言は「戦争国家への道」を開き、子どもたちの「いのち」を「国家のために投げ出すことを強要しようとするもの」として、発言の撤回と辞任を求めた。

 声明の全文は以下の通り。


子どもたちの「いのち」を守ろう!
柴山文科大臣の「教育勅語」発言の撤回と辞任を求める宗教者共同声明

2018年10月18日

 私たち宗教者は柴山昌彦文部科学大臣の「教育勅語」発言の撤回と辞任を求めます。去る10月2日、柴山昌彦文部科学大臣は大臣就任の記者会見で、「『教育勅語』は現代的にアレンジした形で今の道徳などに使えるという意味で普遍性を持っているという部分があり、検討に値する」という発言をして、わたしたちを驚愕させました。

 この日本では、先の戦争の歴史を深く顧みながら、今日の平和憲法のもとで、1948年6月19日に、国会の衆参両議院において、明確に「教育勅語」とは決別する決議がなされたのです。衆議院決議においてはその理由として、「教育勅語」の「根本的理念が主権在君、並びに神話的国体観に基いている事実は、明らかに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すものとなる。…ここに衆議院は決議を以て、これらの詔勅を排除し、…政府は直ちにこれらの謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである」と述べ、参議院決議においては、「…わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、…政府をして『教育勅語』その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。…」と述べ、政府として、「教育勅語」を徹底的に排除し、撤廃する強固な意思が表明されています。

 すなわち、「教育勅語」の理念は、日本国憲法の主権在民と基本的人権の理念や、教育基本法の精神に全く反し、平和を願う世界の国際信義に背反するものであると考えられたからです。

 柴山大臣は、10月2日、記者の「どの辺が十分今も使えると考えるのか」との質問に、「やはり同胞を大切にするとか、あるいは国際的な協調を重んじるとか」と答えました。いったい、「教育勅語」のどこに「国際協調」が語られているのでしょうか。「教育勅語」に全くない言葉をあげつらう柴山大臣は、「教育勅語」を読んでいたのでしょうか。人間社会の当然の理想としての「同胞を大切にする」という理念ひとつを評価するために、「一旦緩急アレバ、義勇公ニ奉ジ、以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」、すなわち、「非常事態発生の場合は、いつでも公に奉仕して永遠に続く天皇
のために命をささげなさい」と謳い、子どもたちに命じる、全く非人道的な「教育勅語」の文脈から、なぜわざわざ「同胞を大切にする」理念を引き出す必要があるのでしょうか。

 柴山文科大臣のこのたびの教育勅語「今も使える」発言は、再び戦前のような戦争国家への道を開き、子どもたちのかけがえのない「いのち」を国家のために投げ出すことを強要しようとするものであり、決して看過できるものではありません。

 私たち宗教者は戦前のいまわしい侵略戦争を推し進めた「教育勅語」の復活を許さず、子どもたちの「いのち」、すべての「いのち」が守られていけるよう宗派・教派を越え、さらに祈り行動してまいります。

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