『キリスト新聞アーカイブス』全5巻11月10日刊行開始 全紙面をデータ化 〝戦後日本〟の姿克明に 2018年11月11日

 「キリスト新聞」は、キリスト教の「専門紙」として70年以上にわたり、戦後から一貫して教派を超えたキリスト教界の動向を報じ続けてきた。敗戦直後の混迷を極めていた1945年12月、賀川豊彦が「敗戦後混乱状態にある日本人にキリスト教を」と提唱し、その意を受けて武藤富男が多くの協力者の賛同と共に創業実務を開始。1946年4月に当社が設立され、同時に「キリスト新聞」が創刊された。

 このほど、創刊号から昭和の終わり(1988年)にかけての全紙面をデータ化して収録したDVD「キリスト新聞アーカイブス」(全5巻)がリリースされ、その第1巻が11月10日に発売された。シリーズ刊行を記念し、その内容と特色について紹介する。

歴史研究にも新たな視点
鈴木範久氏「時代の先駆成した紙面」

 戦後翌年、資源の供給もままならず、情報収集の手段も限られ、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)占領下で検閲も厳しかった時代――。毎週欠かさず発行されていた紙面には、当時編集に携わった執筆者らの並々ならぬ情熱があふれている。

 第1巻に収録したのは1946(昭和21)年4月の創刊号から1950(昭和25)年12月までの計223号分(各号2~16面)。とりわけこの年代の一次資料は他に現存しない貴重な記録も多く、キリスト教関係に限らず、当時の世相や庶民の生活ぶりを知る上でも注目すべき記述が散見される。宣教師が活躍した医療、教育、福祉の分野、また戦後史研究などにおいても稀有な知的財産として共有されることを願って作られた。

 そもそも、「ハンセン病に関する過去の記事を閲覧できないか」という国立ハンセン病資料館からの問い合わせが、今回のデータ化を後押しした側面もあり、今後、さまざまな研究領域での貢献が期待されている。70年以上にわたり社会の趨勢を見守ってきた専門紙だからこそ、新たに提示できる視点があるはずだ。

 日本キリスト教史を専門とする立教大学名誉教授の鈴木範久氏は、次のような推薦文を寄せた。「紙面には長期にわたる圧迫から解放されたキリスト教が、まさに水を得た魚のように生き生きと活動する姿が躍動している。さらに特定の教派を超えた本紙の内容は、それだけでも時代の先駆を成している。記事の中では、とりわけ天皇制と共産主義に対する関心の強さが目をひく。代表的信徒の戦中と戦後の言動の変化をはじめ、現代のキリスト教にとって注意すべき記事があまりにも多い」

 収録にあたっては、紙面から大中小の見出しをテキスト化し、年表、人名、地名、連載タイトルなどのキーワードによる検索も可能となっているほか、索引機能を利用して巻号順に閲覧していくこともできる。また、時代的に「旧字体」と「新字体」が混在しているが、新字体での検索や旧/新字体の表示切り替えもできる。

 今後、第2巻・1951~1960年「戦後復興の進行から高度成長の時代へ」、第3巻・1961~1970年「オリンピックと『政治の季節』の時代」、第4巻・1971~1980年「高度成長の終わりから高度消費社会へ」、第5巻・1981~1988年「創刊から40年を超え昭和の終わりへ」(タイトルはいずれも仮題)を順次刊行予定。本体価格は各巻10万円だが、1月末までは期間特価の9万円で販売。

 注文は特設ページ(https://www.kirishin-arch.com/)、または最寄りのキリスト教書店へ。問い合わせは本紙編集部(Tel 03-5579-2432)まで。

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