次世代へ時代刻む宗教者 教会フリマ「いのフェス」4年ぶり東京で 2018年12月1日

 2011年以来、毎年開催されてきた教会関係者によるフリーマーケット(フリマ)「いのり☆フェスティバル」(略称=いのフェス)が11月24日、日本基督教団深沢教会(東京都世田谷区)で開催された(同実行委員会主催、キリスト新聞社、日本聖書協会、教文館、なか道、仏教井戸端トーク協賛)。都内では4年ぶりとなる今回は「鳴らせ、時代を刻む鐘!」をテーマに掲げ、上映会、ライブ、クイズ大会と、多彩なプログラムが用意され、非信徒を含む約100人がキリスト教や仏教による次世代へのさまざまなアプローチを思い思いに愉しんだ。

牧師と僧侶、どっちの話が伝わる?
宗教者のメッセージを科学的に解析

 毎回さまざまな趣向を凝らし、教会やキリスト教に触れてもらおうと企画されてきた「いのフェス」だが、今回も教派、宗派を超え多くの協力を得て行われたさまざまな催しが注目を集めた。

 10月末に発売された『手塚治虫の旧約聖書物語~In The Beginning』(豪華9枚組DVD BOX+各話解説付き公式スペシャルガイドブック)刊行記念の特別上映会(教文館提供)、地元群馬で活躍中のゴスペルシンガー・矢嵜風花(ふうか)さんによるミニライブ、旅するクリスチャンブロガー・松山歓己(かんき)さんによるワークショップ「明日から役立つ教会ブログ術」、『聖書 聖書協会共同訳』の発行を目前に控えた日本聖書協会による「出張!聖書クイズ王決定戦」、そして仏教者とのコラボによる「お題説教×お題法話ギョーカイ用語禁止編」と盛りだくさん。

 並行して開設された出展ブースには初参加を含め企業、団体、個人などが軒を連ね、独自に創作した同人誌や教会向けグッズ、書籍などを共有した。また、第1回「聖書ラノベ新人賞」で大賞を受賞し、本紙で「17歳の牧師だけど何か質問ある?」を連載中の高山井作さん、挿絵を担当する金徳造さんも来場し、サイン会が終日行われた。

 最後の「お題説教×お題法話」には、キリスト教側から陣内大蔵(じんのうちたいぞう)さん(日本基督教団東美教会牧師)、齋藤篤さん(同教団深沢教会牧師)、仏教側から西原龍哉(たつや)さん(浄土真宗本願寺派天真寺副住職)、二條和宏さん(真宗誠照寺派満足院副住職)の4人が登壇。司会を増田将之さん(仏教伝道協会職員)、仏教用語判定を青江覚峰(かくほう)さん(浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職)、キリスト教用語判定を本紙編集長の松谷信司が担当した。

 もともと、仏教の専門用語を禁じ、落語の三題噺のように来場者からお題をもらって即興法話をするという企画を定期的に開催してきた関係者らに対し、実行委員会が共同企画を申し込んだのがきっかけ。ルールは「聴衆からお題を五つもらう」「五つのうち最低二つは使う」「僧侶は仏教用語(仏教に由来する日本語も)禁止、牧師はキリスト教用語(キリスト教事典に項目として掲載されている語句も)禁止」「各自2回ずつ持ち時間5、6分で話す」の4点。

 初回、ミュージシャンでもある陣内さんが、お題四つを盛り込んで作詞作曲した歌を即興で披露すると、場内のボルテージも一気に上昇。続く流暢な説教、法話にも多くの参加者が時折うなずきながら聞き入っていた。また、話者と聴者の相関性を可視化して評価するという笑顔測定の試みが、クウジット株式会社(末吉隆彦社長)の協力により行われ、宗教者のメッセージがどのように共感され、幸福感とどう連関するかを科学的に解析するという研究の可能性についてもさまざまな示唆をもたらす結果となった。

 今回も遠方からの出展者、来場者があり、参加はできなかったもののリアルタイムで配信された中継動画を視聴したという人も少なくなかった。初めて「いのフェス」に参加したという都内在住の20代男性は、「お題法話の解説では、普通に使われている語句が、実は元をたどれば仏教用語であることに驚いた。牧師×僧侶による説教バトルの光景は非常に貴重で、僧侶による法話も牧師先生の説教のように聞きやすく思わず聞き入ってしまった。今後も地方開催と並行しつつ都内でも定期的に開催してくれれば」との感想を寄せた。他にも「いろんなクリスチャンがいて、教会がとても自由なところだと伝わってくる大好きなイベント」などの声も寄せられている。

 当日の模様(上映会、ライブ映像以外)は、ユーチューブの「いのフェスチャンネル」(http://bit.ly/2g43cwC)で配信中。

撮影=樗木哲、ヒロタケンジ(@piroken1980)

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