ルター研究所講演会で小田部氏 「神への向き合い方が不安を希望に変える鍵」 2018年12月10日

 ルーテル学院大学付属ルター研究所(江口再起所長)は11月18日、「ルターから今を考える――宗教改革から500年後の人間の自由と不安と希望」と題した秋の講演会を、日本福音ルーテル大森教会(東京都大田区)で開催した。

 同研究所は今年開設33周年を迎え、都内のルーテル教会を会場に毎年行っている「秋の講演会」の開催も30回を超える。小田部進一氏(玉川大学教授)=写真=を講師に迎えた今回は、約40人が参加した。

 小田部氏は、16世紀ヨーロッパの宗教改革が専門。2016年に出版した『ルターから今を考える――宗教改革500年の記憶と想起』(日本キリスト教団出版局)では、現代にとって宗教改革とは何かを問うた。宗教改革を現代から捉える視点に着目した同研究所が講師として招いた。

 現代人に語りかけるルターの活きた思想を語った小田部氏は講演で、ルター自身の死の状況、修道院に入るきっかけとなった「落雷体験」における死の不安の問題について解説。中世で臨終の儀礼だった「塗油」に対し、ルターは肯定的ではなかったと言及。初期の著作『死への準備についての説教』(1519年)でルターは、儀礼よりも心を神に向け、死に際し祈ること、神と信仰に対する心構えが大切だと述べていると指摘した。また、現代人が抱える生き苦しさ、病気、死への恐れなどに対し、500年前にルターが語った、神に対する向き合い方が不安を希望に変換していく鍵になるのではないかと提言した。

 講演会後は、ルター作詩作曲の「神はわがやぐら」のミニコンサートとレクチャーが行われた。高橋のぞみ氏(日本福音ルーテル東京教会オルガニスト)が演奏を、音楽研究家の加藤拓未氏がレクチャーを担当した。

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