【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 天皇さん家が象徴するもの キョウカイホワイト 2019年2月11日

 天皇さん家の当主が代わるってんで何かと騒がしいですね。小生が所属する教会の役員会では、昨年末に会計が「平成最後のクリスマス」なる発言をして、他の役員から呆れられていました。天皇さんの名の下に、信仰のパイセンたちが殺されてからまだ70年くらいしか経ってないんですけどねぇ……。

 まあ、無理もないかと思います。今の天皇さんは先代が行けなかったところに行っては戦没者を追悼し、災害があれば行って被災した方々に声をかけてきました。先代につきまとった戦争責任の暗い影をよく理解していればこそ、憲法にうたわれている国家の象徴、国民統合の象徴ってものがどういうものかをよくよく考えて行動してきたのだろうと思います。

 今の政府が国民を人間と思わないようなことばかりやっていますから、いわゆる「リベラル」と呼ばれる方々の中にも、天皇さんはなかなか立派じゃないかと言う人がいるのは理解できます。

 一方で天皇さんはおうちの宗教の祭司であることも忘れてはいけません。天皇さん家の存続のためには、象徴としての仕事と祭司の仕事のどちらも重要だというのが今の天皇さんの生存戦略でしょう。これまた理解できる話です。ところが、天皇さんはあまりに人気があるために、いろいろな人に利用されます。今の政府は天皇さんの当主交代を自分たちの人気取りに使いたいようですね。また、「天皇さん万歳」と叫び、中国や朝鮮半島の方々を罵ってやまない人たちが願う世の中のあり方は、天皇さんが願っている世の中とはだいぶ違っている可能性が高そうです。

 天皇さん自身がどう考えるかどうかとは別に、天皇さんの存在自体が差別の再生産のために働くという側面を無視できません。天皇さんはこのことに気づいているんですかね。気づいているとしたら、なかなかつらいでしょうなぁ。

 天皇さんの家族が、「当主交代の儀式くらい国家予算を使わずにやったらどうだ」と言ったのもなかなか興味深い出来事でした。儀式のためにお国が用意したお金が140億円でしたか。「国家の象徴、国民統合の象徴なんですから、パーッと派手にやりましょうっ!」というのが政府の考えであるとするなら、「国家の象徴、国民統合の象徴なんですから、いろいろな考え方がいることも考えて、私費の範囲でやりたいです」というのが天皇さん家の考えということでしょうか。これまた理解できる話です。

 天皇さん家は今のようなかたちで続く限り差別再生産の装置として機能し続けるでしょうし、気持ちとしては天皇制打倒!と叫びながら千代田城の周りを走りたいくらいです。ただ、そう叫んでも天皇さん家をめぐる問題は何一つ解決しないでしょう。

 天皇さん家の一人ひとりと、天皇さん家を今のように存続させている世の中のひずみとは、関係してはいますが分けて考えた方がいいでしょう。政治権力によってさまざまな自由を奪われ、後継者が続くかどうかは不安定、結婚するにも当人の意志以外にさまざまな要素が絡み、女性の権利は顧みられない。こうしてみると、天皇さん家はこの社会が抱えるさまざまな問題を象徴する存在に見えてきます。

 この社会において、キリスト者は少数派です。この社会の周縁、今にもこぼれ落ちそうなところにいます。でも、キリストを仰ぎつつ周縁にいるからこそ、天皇さん家の人々をただの人として、タラントもあれば欠けもある人間として、見ることができます。小生はこのことを楽しもうと思います。

キョウカイホワイト
 白鳥 剛(しらとり・ごう) 通勤電車内での読書を愛するウンチク系ものしり博士。キョウカイジャー唯一の一般信徒。妻との生活を守るため、職場の理不尽に耐える姿はまさに社畜。武器:理屈/必殺技:おだやかな論破/弱点:ピーマン

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