【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 フィルターの定期点検を キョウカイバイオレット 2019年2月21日

 エアコンや空気清浄機、掃除機には「フィルター」が付いている。ほこりなど余分なものを取り除き、澄んだ空気だけを通すためだ。薄くて目立たないが、これはなくてはならない。時々掃除しないと目詰まりを起こし、フィルターだけでなく、機械全体を駄目にしてしまう。

 教会にもこれと同じフィルターがあると私は考える。教会の内と外を隔て、あるものを取り除き、中に入ってこないようにするフィルターが。具体的にどんなものが、取り除かれるのだろうか。

 例えば教会を辞め、離れていった人たちの声。彼らが教会に対して抱いていた不満、怒り、失望などの声。牧師や役員といったリーダーたちがそれらの声を意図的に封じ込め、シャットダウンし、教会の中に入ってこないようにすることがある。入ってこない以上、教会の中の人たちは彼らがなぜ辞めたのか、なぜ離れていったのか、いったい何が起こったのか、本当のことはわからない。何も知らされない。あるいはリーダーたちにとって都合のいい理由だけを聞かされて終わる。

 フィルターが目詰まりして、機能不全を起こしているのだ。教会の中は空気がにごり、中の人たちの健康を害してしまう。思い切ってフィルターを取り外してしまうくらいの換気が必要だろう。やんちゃを気取ったキョウカイブラック風に言えば「ぶっ壊せ!」といったところだ。下品でまったく気にくわない台詞だが……。

 ある夜、牧師とある信徒が大声で口論するのを、私はたまたま聞いてしまった。非常に激しく、感情的なものだった。ここではとても書けないくらいの暴言が飛び交って、私の心は痛んだ。そして次の日曜日、その信徒は礼拝に姿を見せなかった。次の週も。そのまた次の週も。

 4週目になって、牧師がやっとその信徒について言及した。その信徒は教会の方向性に納得できず、出ていってしまった。愛をもって引き止めたけれど、ダメだった。これは自分の不徳の致すところだ。本当に申し訳ない、と。そして涙ながらに、皆の前で謝罪するのだった。しかし、私は違和感を覚えた。

 それから数年後、私はその信徒と再会することができた。そして当時何があったのか、初めて聞くことができた。「牧師のやり方に問題があると指摘したら、今すぐ出ていけと言われた。聞く耳を持ってもらえなかった」。なんと牧師が嘘をついて、会衆にまったく違う話を吹き込んでいたのだ。

 「愛」や「赦し」を標榜する教会としてあってはならないことだ。しかし残念なことに、似たような話を時々耳にする。都合の悪い人たちを教会から追い出しておいて、何事もなかったように愛だ何だと語る教会のリーダーたちの話だ。他にも、他教派の情報を入れないよう画策したり、他教会との交流を事実上禁止したりするリーダーたちもいると聞く。

 都合の悪いもの、見たくないものを締め出して、綺麗なものだけで飾り立てて、何になるのだろう。中の空気をよどませて、結局自分たちを息苦しくさせるだけだと、なぜ気づかないのか。教会を良くするヒントは、教会を離れていった人たちの不満や怒りや失望の声、いわゆる「外の声」に隠されているはずだ。それらを封じ込めるフィルターのある教会に、改善の余地などあるはずがない。

 さて、日本の教会の諸君、そろそろフィルターを点検する時期ではないだろうか。

キョウカイバイオレット
 紫乃森ゲール(しのもり・げーる) 医療現場で傷つき病める人々を支え、代弁者として立つ看護系はぐれキリスト者。あらゆる差別、無理解、誤解と日々戦う。冷静と情熱の中間くらい。ツンデレ。武器:痛くない注射/必殺技:ナイチンゲール型四の字固め/弱点:パクチー

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