東京神学大学の現役学生 ハラスメント調査委に訴え 2019年3月31日

 東京神学大学(東京都三鷹市)在学中の学生が、希望する大学院への進学を根拠もなく阻まれたとして訴えている。訴えているのは、この3月に同大学を卒業する渡邉憲英さん。渡邉さんは2016年3月に15年勤務した民間企業を退職し、当時通っていた日本基督教団阿佐ヶ谷教会の推薦で3年次から編入学した。卒業後は大学院に進学することを希望していたが、入学後に同大学の中野実教授から、たびたび「早く辞めてほしい」「あなたには資質がない」などの発言を繰り返し聞かされたという。

 さらに、昨年10月には大住雄一学長からも「大学院に進学させないことは、教授会で編入学前から決定していた」「初めから条件付きの編入学だった」との説明を受けた。渡邉さんは「大学院への進学が不可能であると知っていれば、そもそも編入学していない」「学生のほとんどが学部を経由して大学院に進学している実績があるにもかかわらず、(渡邉さんのみを)差別的に取り扱う合理的理由がない」と主張し、真っ向から対立している。

 渡邉さんは昨年11月、「人権侵害防止対策規定」に基づき学内に設置されたハラスメント調査委員会に対し、調査を訴え出るも、一向に調査が進まないことから間接的に文部科学省へ直訴。同省高等教育局大学振興課からの要請もあり、1月以降、ハラスメント調査委員会が本人及び同じ講義を受けていた神学生や阿佐ヶ谷教会の信徒らへの聴き取りを行った。2月の教授会で、ようやく調査結果が報告されたが、その最中に疑義を訴える意見が出され、事実上取り下げられる結果となった。

 同委員会の報告では、「渡邉の訴えに至った中野の指導には、不適切な点があったことを認める。この件の背景には教授会の渡邉に対する判断が二つに分かれていたことがある。2017年3月特別教授会で渡邉を夏期伝道実習に派遣しない決定をふまえ、奮起して成績を上げる方向に当時の担任は指導した。これに対し中野はじめとして学部止まりが確定したと理解し指導した者もいた」とし、「伝道者になることがなぜ渡邉はふさわしい進路ではないか、本人が納得できる仕方で語ることができなかった」「(大学院へ)内部進学ができない理由として、中野は渡邉の教会学校における説教の評価に言及しているが、それは根拠のあるものではなく本人を納得させるものではなかった」点が不適切だったと指摘した。

 これに対し中野教授は、「繰り返し、日常的に誹謗中傷、侮辱的言辞がなされたとの申し立ては、全く事実無根」「私の主張の正しいことを裏付ける十分な証拠もある」と反論。また、ハラスメント調査委員会の報告についても「はっきりとした事実誤認が認められ、その調査の前提が崩れるような証拠も出され、その場(教授会)で調査委員会が撤回し、教授会としては正式に破棄、無効になっている」とし、「この件については、理事長のもと、弁護士を加えたハラスメント問題特設委員会が発足」するとしている。

 1月にハラスメント調査委員会を招集した同大のウェイン・ジャンセン教授は、「これまで担当してきた学生と比べても、大学院に進学できない理由が見当たらない。中野氏に聞いても明確な答えがない」と話す。

 渡邉さんは現在、中野教授、大住学長を相手取り訴訟を起こす構え。

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