【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 あの親は私だったかもしれない キョウカイイエロー 2019年4月11日

 落ちた。保育園にではなく、コンサートチケットの抽選に……。J事務所の引退に伴うコンサートではない。某教育番組の体操のお兄さんとお姉さんが引退するのだ。我が家の子どもは特に体を動かすことが好きなので、本当にお世話になった。2人が引退直後のファミリーコンサートに出演するというので、ひと目でも会わせてあげたいとの親心から応募へと踏み切ったのだが、チケットは「求め」ても与えられなかった。実は、こんなイエローでも育児うつになりかけた時期があった。

 産後数カ月のころ、子どもが活発に動き回るようになり、いたずらも多くなった。片付けたところから引っかき回され、家の中はめちゃくちゃ。時間をかけて離乳食を作っても思うように食べないか、遊んでしまう。少しでも見えないところに私が行けば大騒ぎで号泣するため、トイレさえも行きたい時に行けない上、自分のしたいこともしなければいけないことも何もできない。昼寝もあまりしなければ、夜もすんなりとは寝られず、寝かしつけに手こずる日々。自分の睡眠時間も確保できない。

 外に連れていくことが少し困難なので、なかなか外出することもできず、誰とも会話しない、子どもと1対1の日々が続く。同じ月齢の子に比べて体重も背も小さい我が子。はたまたパートナーは子どもが起きる前に出勤し、日付が変わって子どもが寝ているころに帰宅する日々。誰からも褒められず、誰からも気付かれない、孤独なワンオペ育児が続いていた。

 もう一杯いっぱいだった。ある日、真っ暗な寝室でまったく眠る気配も見せず、動き回っている我が子を私は布団へ張り倒した。驚いて泣いた子どもを見て、私は我に返った。そして、子どもが私に抱きついてきて、私は思い知らされた。そうだ、こんなことをされてもまだ私を求める子どもの愛こそ、神の愛だ。裏切られても傷つけられても人々を愛す、神の愛の持ち主は親である私ではない、子どもの方なのだ。

 育児において、自分は絶対に行動や言葉の暴力をしないと言い切っていた私にはおごりがあった。全身全霊で育児をしている中で、「絶対」はありえない。完全な神ではないのだから。もろくて弱い私たちは、いつも虐待の危険性と隣り合わせだと思う。

 先日、三つ子を育てていた親が産後うつになり、真ん中の子どもをあやめてしまった事件があった。不妊治療をし、やっと授かった命。可愛いけれども、誰ともたいへんさを共有できないマイノリティの子ども。手がかかる上に、成長の遅い子ども。それらが自分の育児と重なり、私にとってこの事件は他人事とは思えなかった。殺人を正当化するつもりはないし、天上にいる2番目の赤ちゃんの平安を心から祈っている。でも、私はこの親を決して裁けない。なぜならこの人は私だったかもしれないからだ。

 私たちは弱いけれど、一人で生きているわけではない。もし、この育児に悩んでいた親に周りの誰かが気づけたら、誰かが手を差し伸べられていたら、結末は変わっていたのではないだろうか。

 自分の弱さに気づけた人は強いと私は信じている。そして、この社会において孤独や課題を抱える人を探し出してでも連帯していきたいと今、強く願う。キョウカイイエロー、不完全なこの器を用いてくださる神に感謝しつつ、今日も目の前の子どもに仕えていきます!

キョウカイイエロー
 
黄野美晴(きの・みはる) ノリがよく、歌やダンスが大好きなジャニヲタ系ミーハー牧師。実は男性アイドル好き の腐女子。聖書科教師も兼任。泣き虫 で浪費家。武器:ソーテール・シール ド(ウチワ型の盾)/必殺技:キュリ オス・ロゴス・フォース(ペンライト から光を発する)/弱点:イケメン。 熱しやすく冷めやすい。

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