復活祭の惨劇 スリランカ 教会やホテルで爆発 死者300人超 2019年5月1日

 スリランカで4月21日、最大都市コロンボ中心部にある日本人など外国人客の利用も多いシャングリラ、シナモン・グランド、キングスベリーなどのホテルとコロンボ北方のニゴンボなど3カ所の教会など計6カ所で爆発があり、300人超が死亡し、少なくとも560人が負傷した。当日はイエス・キリストの復活を祝うイースター(復活祭)に当たる。6カ所での爆発の数時間後、コロンボ郊外の国立動物園付近などで2回の爆発があり、死者も出ている。

 カトリック教会コロンボ大司教区の広報部門関係者は、爆発の起きたコロンボの聖セバスチャン教会では、ミサの最中に爆発が起きたと明らかにした。当日は1000人を超える人々が教会を訪れていた。

 ラニル・ウィクラマシンハ首相は、国内のイスラム教組織が関与する攻撃について政府が事前に把握していたことを明らかにした上で、対応が不十分だったと認め、情報がどのように活用されたか調査する必要があると述べた。

 マイトリパーラ・シリセナ大統領は警察の特殊部隊と軍に犯行グループの特定や動機の解明を命じたことを明らかにした。軍報道官は部隊を投入し、国際空港の警備を強化したと述べた。

相次ぐ「暴力行為」に危機感
クライストチャーチ銃乱射への「報復」との見方も

 各国首脳からは犯行を非難する声が相次いでおり、トランプ米大統領はスリランカ国民に「心からの哀悼の意」を示すとともに、支援の用意があると表明した。

 世界教会協議会(WCC)のオラフ・トゥヴェイト総幹事は、「礼拝に集った人々やスリランカを訪れる観光客に対するおぞましい暴力行為を強く非難し、犠牲者に心からの祈りをささげる」とし、「このように教会を狙うことは、宗教的調和と多様性の原則を保持しようと長年労してきた国民への攻撃」と非難した。

 教皇フランシスコは21日、スリランカの教会などで多数の死傷者を出した爆発について「残酷な暴力」と批判、被害にあったすべての人に心からの連帯を表明すると述べた。バチカンのサンピエトロ広場に集まった信者たちを前にイースターのメッセージを伝えた際にコメントした。

 2012年のスリランカ国勢調査では、国民の70%が仏教徒で、12.6%がヒンズー教徒、9.7%がイスラム教徒、キリスト教徒7.6%となっている。

 日本外務省は21日、日本人数人が負傷し、うち1人が重傷との情報があると明らかにした。日本政府は同日、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。

 スリランカでは1970年代に結成されたタミル人過激派組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)と、仏教徒中心の多数派シンハラ人の間で抗争が続き、90年代に大統領が爆弾テロの犠牲になるなど治安が悪化した。その後、2009年にLTTEが敗北宣言し、マヒンダ・ラジャパクサ前大統領が内戦終結を宣言していた。

 この事件で、イスラム教徒の兄弟2人が、ホテル2カ所で別々に自爆攻撃を実施する役割を果たしていたと、複数の警察筋が23日、AFP通信に明らかにした。兄弟は中心都市コロンボで香辛料を扱う富裕な商人の息子で、「シャングリラホテル」と「シナモン・グランド」ホテルでそれぞれ自爆攻撃に及んだ。また一連の攻撃で4カ所目のホテルも標的とされていたが、この攻撃は未遂に終わった。

 兄弟の氏名は公表されていないが、いずれも20代後半。家族で「細胞」を構成。さらに、国内のイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア」の主要メンバーだという。

 今回の攻撃について、イスラム過激派組織「イスラム国」が犯行を主張しているが、スリランカ政府は事件が「ナショナル・タウヒード・ジャマア」によるものとしている。ニュージーランドのクライストチャーチで発生し、50人が死亡した銃乱射事件の「報復」だったとの見方を示す閣僚もいる。

©Ivars Kupcis/WCC

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