【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 病と闘う友 キョウカイレッド 2019年6月11日

 エミからLINEが来た。何年か前に幼稚園の同窓会で20年ぶりに再会した幼なじみだ。LINEのグループではつながっていたが個人的には初めてメッセージが届いた。「牧師!(笑)、ガンが再発したので祈って~(笑)」とあった。事柄の深刻さと文面の印象が一致しないことに心が余計に騒いだ。同窓会の時に乳がんの手術をした話を聞いていたが、術後3年で再発したらしい。

 1人の友人として、また祈りを要請された牧師としてエミとのLINEのやり取りが始まった。教会付属の幼稚園に通っていた私たちは、毎日お祈りをし、賛美歌を歌い、聖書を読みながら同じ時を過ごした。エミは小学校のころは教会学校に通っていたが、大人になってからは毎週教会に通い、礼拝をささげていたわけではない。それでも病を通して再び礼拝にも通い出していると聞いた。

 LINEのやり取りでも聖書の言葉を添えることが増えた。私はその日に読んだ聖書の言葉や説教の準備をする中でエミと分かち合いたいと思った言葉を書き送った。エミは、「その言葉こそいま私が必要としていた言葉」だと嬉しそうに返信をくれた。

 手術の前日、私たちの担任だった利恵先生と一緒に病院にお見舞いに行った。エミの母親も交えて、病気のことよりも昔話に花が咲いて笑いながらしばらくの時間を過ごした。ただ、みんな笑いながらもどこかに緊張が漂う時間であった。1時間ほど経っただろうか、「お祈りして」とエミが切り出した。私はエミと私が子どものころからよく耳にしていたイザヤ書を読んだ。「主に望みをおく人は新たな力を得/鷲のように翼を張って上る」(イザヤ40:31)。そして、短く手術の成功と主の祝福を祈った。エミの目からは涙がこぼれ落ちた。利恵先生がエミをしばらく抱きしめていた。

 手術当日の朝、エミからLINEが届いた。お見舞いへの感謝が記された後、こうあった。「昨日読んでもらった聖書は、幼稚園の時など、これまで何度か聴いたことあったし、いい聖句だなぁと思っていたけど、昨日ほど自分の心にドーン! と入ってきたのは初めてでした。病気キッカケだけど、こんなにも神様のみ言葉にふれられる機会が与えられて、私は幸せ者だと思う。……今は自分でも不思議なほど不安なく手術時間を待ってます。これが神様が共にいてくださってる、ってことなんだね(笑)」

 「病まなければ」という詩の一節に「病まなければ/聴き得ないみ言葉がある」とあるが、エミは身をもってそのことを経験したようだ。もちろん病気になったこと、ガンになったことは嬉しいことではない。しかし、嬉しくはない病を通してなおも「私は幸せだと思う」と語るエミに、私が大いに励まされるLINEのやり取りだった。

 エミはなお闘病を続けている。まだしばらく辛い治療も継続するようだ。その中で、エミは礼拝に続けて通っている。これまで礼拝に出ることのなかった連れ合いも一緒に出席するようになったらしい。人生の不思議、神との出会いの不思議を思う。

 み言葉の種をまく。キョウカイジャーの大事な務めだと誰もが思っている。その難しさに悩む。芽が出て、育っているのかさっぱり手応えが分からず、打ちひしがれることも少なくはない。だがやはり「時」があるのだ。神が語られることを信じて、恐れることなく語り続けたい。病と闘うエミから私はキョウカイジャーとして闘う力を与えられた。

キョウカイレッド
 赤星雄馬(あかほし・ゆうま) 常に筋トレを欠かさない体育会系アスリート牧師。その体の大きさから態度のデカい奴だと見られるのが悩みの種。大食漢。仁義に厚い。武器:黄金バット/必殺技:み言葉千本ノック/弱点:食欲

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