説教塾が公開講演会 『聖書協会共同訳』『新改訳2017』めぐり議論 2019年7月1日

 説教塾主催の公開講演会「説教と聖書翻訳」が6月17日、品川キリスト教会(東京都品川区)で行われた。この2年で相次いで新しく刊行された『聖書 新改訳2017』と『聖書 聖書協会共同訳』の翻訳に関わった2人の講師が、それぞれの翻訳の特色とその経緯について語った。

 『新改訳2017』の翻訳で新約主任を務めた内田和彦氏(日本福音キリスト教会連合前橋キリスト教会牧師)は、「より適切な日本語に」「より正確な本文を」「より正確な解釈を」目指した今回の翻訳のポイントを、実際の聖書箇所に沿って説明。続いて『聖書協会共同訳』で翻訳者兼編集委員として携わった住谷眞氏(日本キリスト教会茅ヶ崎東教会牧師)が登壇し、近年の聖書学の新たな成果・視点の導入によって新たな翻訳がなされた一方、誤訳や意味不明のまま残ってしまった箇所があることを明かした。

 両翻訳の間で違いが顕著に表れたのは、ローマ人への手紙(ローマの信徒への手紙)3章22節「ピスティス・イエスゥ・クリストゥ」の翻訳。『新改訳2017』は伝統的な見解に留まって「イエス・キリストを信じることによって」と訳したのに対し、『聖書協会共同訳』では新しい知見を取り入れ「イエス・キリストの真実によって」と訳した。両氏はそれぞれの訳に至った経緯を説明すると共に、近年の新約学でも議論が拮抗していること、二者択一的な問題ではないことを説明した。なお、それぞれの聖書は註釈でもう一方の訳を別訳として表記している。

 郷家一二三(日本ホーリネス教団坂戸教会牧師)、高橋和人(日本基督教団田園調布教会牧師)の両氏を加えた応答とパネルディスカッションの時間では、郷家氏が「どちらか一方ではなく、両方の聖書を教会で用いてもいいのではないか」「部分的にではなく、通読することが教会の使命である」、高橋氏が「聖書翻訳は説教に近い作業」「学問的な世界の中で、なお聖書は生きていることを感じた」とそれぞれコメントした。

 パネルディスカッションの中ではそれぞれ「そのまま説教題として使える翻訳を意識した」「自分が今まで研究してきたことをすべて投入した」(住谷氏)、「耳で聞いて誤解しない、また20年後の読者でもわかる訳文を心がけた」「次の翻訳者を育てる聖書翻訳研究会を立ち上げた」(内田氏)と語った。

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