【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 悔しさ抱えたペトロのように キョウカイイエロー 2019年7月11日

 J事務所のアイドルグループにかつて所属していた芸能人が逮捕された。ファンは信じていた人に裏切られた気分だろう。アイドルは偶像だと分かっている。作り上げた人物像を本人が演じることは当然だと思うが、違法な何かによって作られたまやかしの彼は受け入れられない。かつて同じグループだったメンバーはどのように思っているのだろう。腹も立つだろうが、何もできなかった自分を責めたりしているのではないか。ああ、少なくとも彼の土下座なんて見たくなかった。

 さまざまな報道に胸を痛めながらも、あるイースター礼拝での説教を思い出していた。私が大学生のころ、小学校以来の友人が命を絶った。大学でのいじめが原因だった。地元に残った友人がいじめにあっていたことを私は聞いていたが、大学進学で地元を離れていることを理由に私は何もしなかった。再会できるはずだった成人式の日、同窓会で友人のことはまったく触れられなかった。これまでの人生がないものにされたようで悲しかったが、私もそうしてしまった者の1人であることに間違いはなかった。

 牧師はその説教で、私たちはペトロのように弱さゆえ罪を犯すが、それを悔しい思いで振り返ることができるかどうかで変わってくるのだと話していた。友人の死と何もしなかった自分への悔しさは、私が牧会を志すきっかけとなった。私自身も自死を考えてしまった多感な時期、キリスト教と出会い、神の愛と救いの希望を伝えてくれる牧師と出会えたことは本当に大きかった。

 私は友人を見捨ててしまった。たとえ無力でも友人と向き合い、寄り添えれば、結末を変えられたかもしれないのに……。自分の人生に希望が見出せなかった友人に、「あなたのことを否定する人たちの前から一緒に逃げよう。あなたを愛してくれる人たちと一緒に過ごそう」「こんなところでがんばっていなくていいよ。違うところにあなたの居場所はあるんだよ」と言えていたら……。何より、何があっても私はあなたの味方だと伝えられていたら……。後悔は尽きないし、今でも涙があふれてくる。もう友人のためには何もできない。でも、これ以上、友人のような若者が増えないように何かできることはあるんじゃないだろうか。そう思った時、私は若者に神の愛と救いの希望を伝えるために召されているのだと理解した。この思いから召し出され、今も若者たちに仕えるため、神によって学校に遣わされている。

 罪を犯し、たくさんの人を裏切った元アイドルは今、自分の罪をどのように振り返っているだろうか。これまでの事実は変えられない。しかし、これからどのように生きるかは変えられる。変えていける。牧師は説教の中で、悔しさを抱えながら生きてきた人にこそ与えられる祝福がある、と言っていた。ペトロにとっては復活の知らせだ。神は共におられるという知らせ、それを聞いた喜びを忘れない限り、生きていけるとも。彼の元にも知らせが届いてほしい。そして、その意味を伝えてくれる人がそばにいてほしい。

 弱く罪深い私とも神は共にいてくださり、共に歩んでくださっている。悔しさを悔しさのまま終わりにせず、弱さを自覚しながらも人々と連帯して生きていきたい。キョウカイイエロー、今日も初心を忘れず、目の前の生徒たちと共に歩んでいきます!

キョウカイイエロー
 
黄野美晴(きの・みはる) ノリがよく、歌やダンスが大好きなジャニヲタ系ミーハー牧師。実は男性アイドル好き の腐女子。聖書科教師も兼任。泣き虫 で浪費家。武器:ソーテール・シール ド(ウチワ型の盾)/必殺技:キュリ オス・ロゴス・フォース(ペンライト から光を発する)/弱点:イケメン。 熱しやすく冷めやすい。

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