NCC=日本キリスト教協議会 創立70周年で宣教会議 エキュメニカル運動の意義を再確認 〝地の果て〟の叫びを聞こう 2019年7月21日

 国内30のプロテスタント諸教派、団体によって構成され、世界教会協議会(WCC)、アジアキリスト教協議会(CCA)など、海外のキリスト教ネットワークと共にエキュメニカル(教会一致)運動を牽引してきた日本キリスト教協議会(NCC、渡部信議長)は、2018年に創立70周年を迎えたことを受けて7月14日~16日、宣教会議を開催した。初日の14には、在日本韓国YMCAアジア青少年センター(東京都千代田区)で記念礼拝と公開パネルディスカッションを行った。

 総幹事の金性済(キム・ソンジェ)氏は「宣教は精霊の風に吹かれ」と題する説教の中で、エキュメニズムの語源である「オイクメネー」(ギリシャ語)が宣教の領域としての世界を表していることに触れ、「教勢の低迷や財政難よりも、宣教において使徒言行録に記された『地の果て』が見失われていることこそ教会の危機と自覚すべき」とし、教派の違いを超え、さまざまな差別に苦しむ者の「いのちの叫び」に対し、「宣教の課題として共感、連帯していくことが重要」と指摘。「政治的にも社会経済的にも困難な時期こそ、数と量ですべてを測り、評価しようとする衝動への誘惑に気を付けなければ、福音のため、教会のためと公言しながら数にも物にも代えられない大切なものを見失ってしまう」と警鐘を鳴らした。

 礼拝では、聖霊に満たされて弟子たちが各々の言葉で語り始めたことになぞらえ、アラビア系ユダヤ人、女性、聴覚障がい者、うちなーんちゅ(沖縄県民)、セクシャルマイノリティ、「親を愛せない人」の抑圧された声を代弁する言葉が読み上げられた。

カトリック・福音派との共同も視野に
〝あらゆる属性の人々が宣教の「主体」〟

 礼拝に続くパネルディスカッションでは、「エキュメニカル運動の過去・現在・未来」をテーマに、有住航(NCC東アジアの和解と平和委員会委員、日本基督教団)、平良愛香(平和を実現するキリスト者ネット事務局代表、日本基督教団)、藤原佐和子(アジアキリスト教協議会常議員、日本福音ルーテル教会)、吉高叶(NCC常議員、日本バプテスト連盟)の4氏がパネリストとして登壇。西原美香子氏(日本YWCA幹事、日本聖公会)がコーディネーターを務めた。

 各自が自らの体験を交えて「エキュメニカル運動との出会い」を紹介した後、共通のテーマと会場からの質問に答える形で進められた。「日本のクリスチャン人口が1%しかいないことについて」との質問に、藤原氏はCCA主催のアジア宣教会議(2017年)で語られた講演から、「その土地の宗教にとって代わる宣教モデルはアジアでは通用しない。キリスト教がローマの国教になったことは最大の不幸」との言葉を紹介し、「日本のキリスト教は宗教文化的なマイノリティであるからこそ、この世の力に流されず、黙らされず、追従せずにいるという預言者的な役割が担える」と答えた。

 次いで「社会派だから、福音派だからとよく聞くが?」との問いに有住氏は、「エキュメニカル運動が携わっているのは侮られる命の問題であり、『社会』か『福音』かと簡単に分けられるものではない。分断された両者に橋をかけるような言葉を生み出していくことも、エキュメニカル運動の課題ではないか。いつまでも古い構図に付き合う必要はない」と応答。

 「なぜ教会が、人権・平和・環境・ジェンダーなどの課題に関わるのか? これらの課題は『政治的』か?」との問いに平良氏は、「政治的な課題を教会に持ち込んではいけないと思っている教会は、差別があっても放置する教会。『赦し』や『和解』が説かれる教会は、人権、平和、ジェンダー平等が脅かされやすい場所だからこそ自覚的に取り組まなければならない」と指摘し、カトリックから福音派まで互いの違いを楽しみながら同じ課題で共同できる可能性についても触れた。

 エキュメニカル運動の課題について吉高氏は、「宗教は常に改革され続けるものだということに気付いたのが、500年前の宗教改革の本質。改革いとを厭う宗教は支配することを内面化していく」とし、「目の前の隣人と出会い、変えられていく経験を共に分かち合えたら」と展望を語った。

 翌15日には、NCCの各部・各委員会による報告、協議、さらには「宣教」「奉仕」「証し」「祈り・礼拝」の各テーマに分かれて分科会が行われ、16日の最終日には宣教宣言が採択された。同宣言は、「社会派か福音派か、という二元論に陥ることなく、人間の生のすべての領域に関わる喜びと解放の課題について共同していくエキュメニカル運動でありたい」「マイノリティを孤立させず、多文化共生社会の実現を目指すことが、エキュメニカル運動の課題」と明言。

 20年前の宣教宣言が「構成員の7割は女性であるにもかかわらず、決議決定機関は男性成人教職者中心で占められ続けてきた。……青年、子ども、女性は常に宣教の対象として位置づけられ、共に宣教を担う者として正当に扱われてこなかった」と指摘していることを踏まえ、「これからの私たちの『コイノニア』は、女性というカテゴリーに留まらず、あらゆる世代、ジェンダー、セクシュアリティに属する人々が『主体』でなければなりません」と言及している。

 NCCは創立50周年にあたる1998年と、戦後60年にあたる2005年に2回の宣教会議を開催し、その成果は「エキュメニカル・カレンダー」による祈りの支え、次世代へとつなげていくための「子ども平和会議」の開催、キリスト者・宗教者平和ネットなどの形で結実してきた。今回の宣教会議を迎えるにあたっては、2016年から4回にわたるプレ集会を重ねてきており、そこで配られた発題、報告資料などをまとめた報告書も昨年3月に発行している。問い合わせはNCC事務局(Tel 03-6302-1919)まで。

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