ノートルダム大聖堂 AFP通信がヘルメット姿で行われたミサを伝える 2019年7月22日

 AFP通信パリ本社のカリーヌ・ペレ記者がノートルダム大聖堂で火災後初のミサを取材した際、ヘルメットをかぶって仕事をすることになるとは思いもしなかった、と書き出す。6月25日に配信された英文を日本語に翻訳したペレ記者の記事を紹介する。

 ミサは、火災から丸2カ月たった6月15日に行われた。取材を許可されたメディアはAFPとフランス語のカトリック系テレビチャンネルKTO、カトリック系の写真通信「シリック」の3社。ペレ記者はミサ当日まで数日にわたって粘り強く交渉を行い、数枚の写真撮影と動画5本の撮影を許可された。

 大聖堂に入る前には、まず、水を張ったたらいの中で靴底を洗わなければならなかった。靴に付着した、火災で発生した鉛を洗い流すためだ。入ってみて、最初に圧倒されたのは、その静けさだ。まるで時が止まっているように思える。小さな礼拝堂に通じるスペースはごく最近、洗浄されたばかりのようで、少し湿っていた。焦げ臭いにおいはまったくしなかった。

 ミサには30人ほどが集まっていた。「普段は、これほど大勢の前でミサを行いません」とミシェル・オプティ大司教。ほほ笑みながら「世界中が見ているのなら、とても喜ばしいことです」と語った。それもももっともだ。フランスではこの数十年間、礼拝の出席者数が減り続けている。5月に発表されたフランス人の価値観に関する報告書によると、カトリック教徒と自認する人の割合は、過去40年で70%から32%に落ち込んだ。

 神父たちは、聖歌隊席の後ろにある金色の十字架とピエタ(キリストの遺体を膝の上に抱えて嘆き悲しむ聖母マリアの彫像)の前に並んで立った。何人かがスマートフォンで写真を撮った。大司教が、その有名な聖母子像について説明した。1886年のクリスマスのミサに参列した詩人のポール・クローデルは、この像にいたく感動してカトリックに改宗したという。

 午後6時。鐘の音が鳴り響き、先唱者が聖歌を歌い始めると、ベージュと金色の長衣を着て白いヘルメットをかぶった神父たちが祭壇の周りに集まった。ミサが始まった。私は自分のパソコンから短い原稿を送ると、目の前で行われていることに集中した。その光景は、すべてを物語っていた。神父たちの長衣とは不釣り合いな火災の痕跡。私はスマートフォンで撮影しながら、ミサを邪魔しないように努めた。

 ミサは45分間行われた。次にここでミサが行われるまで、まだしばらくは時間がかかるだろう、とペレ記者が受けた感動も深かったようだ。(CJC)

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