戦後74年目の〝8月〟各地で平和への祈り 国内外の情勢は緊迫 2019年9月1日

 8月15日の敗戦記念日を中心に、今年も各地で平和を祈る催しが行われた。折しも日韓関係にさまざまな軋轢が生じ、国内では国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」における企画展「表現の不自由展・その後」が中止されるなど、情勢が緊迫する中で迎えた戦後74年目の夏。改めて日本のキリスト教界がどんな言葉を発信すべきか問われている。

 千鳥ヶ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)では、毎年恒例の8・15平和祈祷会(同実行委員会主催)が行われ、関田寛雄氏(日本基督教団神奈川教区巡回教師)=写真下=が「和解の務めに生きる」と題してメッセージを語った。関田氏は、日本が植民地化したアジア諸国に対し「いつまで謝ればいいのか」と言われるが、「国家としての罪責が公に悔い改められない限り、いつまでも謝るべき」と強調。日本基督教団の戦責告白が生まれた背景を振り返った上で、今年2月に逝去した高俊明氏(台湾基督長老教会牧師)が「日本が必ずより(内面的に)美しくなる」ことを信じ、1990年に綴(つづ)った詩「美しい日本に」を紹介し、アジアの友人による「熱い祈り」に支えられ、「今こそ、神がキリストを通して和解してくださった世界のために祈り、とりなしたい」と結んだ。続けて約100人の参加者が平和への祈りを合わせた。

トラウマの予防策は「戦争しないこと」
日韓諸団体が相次いで声明

 日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会が後援する「許すな!靖国国営化8・15東京集会」(同実行委員会主催)には、『戦争とトラウマ:不可視化された日本兵の戦争神経症』著者の中村江里氏(日本学術振興会特別研究員)=写真=が招かれ、「『戦争』と『トラウマ』――もうひとつの戦争」と題して講演。会場のルーテル市ヶ谷センター(東京都新宿区)には約80人が集った。

 中村氏は、「なぜ日本社会で戦争のトラウマが長らく可視化されなかったか」との命題を起点に、「戦争神経症」患者の病床日誌などから証言を分析した結果を考察。今後、自衛隊員のストレスが増大することが予想される中で、加害者が作られていくプロセスを理解し、将来的に戦争による暴力の連鎖を断ち切るためにも、「加害者自身の心の傷と向き合うことが重要」と訴えた。

 防衛省の発表によれば、イラク特措法、テロ特措法に基づき派遣された自衛官のうち54人が帰国後に自殺したという。「PTSDの復員日本兵と暮らした家族が語り合う会」や「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」との関わりの中から中村氏は、「トラウマの一番の予防策は戦争をしないこと。可能な限り戦争を抑止する方法を考えていきたい」とも加え、「太平洋戦争の当事者から直接話を聞ける最後の世代として、資料に基づいて事実を知らせていくことがますます必要。医療者だけで対応しきれない問題については、宗教者の立場からもぜひ協力してほしい」と結んだ。

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