続く停電、断水 対応に苦慮 被災レポート 寒河江健(日本基督教団四街道教会牧師) 2019年9月21日

 千葉県を中心に大きな爪痕を残した台風15号。猛烈な風と激しい雨で多くの家屋が被害を受け、停電、断水の影響も広範囲に及んだ。9月11日時点でも約40万世帯が過酷な環境下で不自由な生活を余儀なくされている。

 停電、断水の被害を免れた日本長老教会おゆみ野キリスト教会土気チャペル(千葉市緑区)は、スマホ充電用の電気や、シャワー、飲料水などを無料で提供したほか、日本聖公会館山聖アンデレ教会(館山市北条)、日本ホーリネス教団佐原キリスト教会(香取市佐原)、日本ナザレン教団五井ナザレン教会(市原市五井中央西)なども会堂を被災者に開放。日本基督教団京葉中部教会(市原市辰巳台東)は炊き出しを行って近隣の被災住民に提供した。

 四街道市四街道で被災した寒河江健(さがえけん)さん(日本基督教団四街道教会牧師)に、台風に遭遇した状況を報告してもらった。

〝復旧の見通し立たず不安〟
信徒宅の訪問も手探り状態

■9月9日(月)
 午前3時ごろから5時ごろまで台風が直撃。ものすごい暴風雨で窓を叩きつける音。教会建物2階の牧師館で寝ていたが建物が揺れるのを感じる。朝7時ごろには台風から一転して晴れ間が広がり猛暑に。教会がある四街道市四街道は停電を免れた。向かいにある千葉敬愛高校敷地内の大きな木が何本か倒木しているのを目撃。台風の強さを物語っていた。息子を自転車で幼稚園に登園させ、他の保護者たちの話を聞くと四街道市でも広域にわたって停電していることを聞く(ここまでそもそも四街道市で停電があることを知らなかった)。市内でも広域にわたって信号がつかず、深刻な交通渋滞が発生していた。

屋根が吹き飛ばされるなどの被害が出た千葉県富津市

■9月10日(火)
 午前、TEPCOの停電情報をもとに停電数の多い地区に住んでいる教会員を訪問。みそら地区2世帯。みそら地区はほぼ全世帯が停電していた。Aさんはお連れ合いと一緒に猛暑の中、ご自宅で過ごされた。朝から手で洗濯をしているところだった。車のガソリンはあるし、市中心部(車で10分ほど)に行けば店も開いているので大丈夫とのこと。

 Bさんご家族は娘さんが里帰り出産で帰省しているところだったので、暑い家では過ごせないとのことで、停電のなかった近隣に住む親類の家に避難して一夜を過ごした。お連れ合いは近所が皆避難して空き家になるため、防犯も兼ねて自宅に残り、猛暑の中一夜を明かした。布団の横に木刀を置いていたとのこと。

 続いて和良比地区には妊娠中のCさんがいたが、そこも停電。幸いお連れ合いが会社を休んで一緒に過ごされたが夜は暑さのため車中泊。電気復旧の見通しが分からず、もともと里帰り出産の予定だったため横浜の実家に避難された。

 めいわ地区も広域にわたり停電中。家がオール電化のDさんはとても不便だと言っていた。高齢のEさんご家族も冷水シャワーで寝苦しい夜を二夜明かした。

 四街道市内は、みそら地区を除き11日には電気が復旧したとの連絡があった。みそら地区は未だ復旧せず。四街道市内の会員の自宅をいくつか回った後、八街市の被害が大きいとの情報を受けFさんご家族の自宅を訪ねる。途中の道で倒木があり、電柱が倒れ、屋根や看板が吹き飛んでおり、四街道市内とは明らかに被害の大きさが違うことを実感した。倒木などのため片側一車線通行や信号が消えている場所もあり、普段なら30分で行ける道に1時間かかったが、何とかFさんの自宅までたどり着く。停電と断水の状態。お連れ合いは学校の教師で、朝どうにか出勤したが何もできることがないと午前のうちに帰ってこられていた。とにかく必要な情報が入らず困っているとのこと。付近のお店はスーパー、コンビニ、薬局、ガソリンスタンドなどすべて休業していた。

 東京電力は10日の段階で、11日中に千葉県内全域で電力復旧の見込みと発表していたが、40万軒以上が停電し、八街市の道路の被害状況を見ても1日で復旧するはずがないと確信。四街道市内で支援物資を買い込み、11日朝にもう一度訪問することを決める。

■9月11日(水)
 朝9時ごろ、Fさんから電話があり、午前1時半ごろに電気が復旧し、それに伴い水も使えるようになったとのこと。八街市は12日朝現在で、まだ約2万軒が停電している。しかし近所の店舗は依然休業中で、おそらく開店しても争奪戦になると思い、急きょ生鮮食品を購入して届けに行く。Fさんの表情は昨日よりかなり緩んだ、ホッとした表情で、電気がつき水も出たのでひと安心とのこと。連絡が取れず心配した娘さんが東京からリュックに水などを背負って帰ってきたそう。昨夜は電気が復旧したためクーラーをつけ眠ることができたが、朝起きたら身体が筋肉痛で「何もしていないけど、知らず知らずのうちに緊張して過ごしていたようだ」との言葉が印象的だった。

     ◆

 被災された方々の気力、体力が限界に近づいていることを痛感すると共に、この責任の一端は政府や、政府に忖度した東京電力やメディアにあるのではないかと感じた。11日夜の報道では「雷や大雨のせいで夜の復旧作業がはかばかしくないため」と説明されていたが、予報では9日か10日朝の段階で予想できたはず。にもかかわらず東電は9日朝の段階で10日中には千葉県内でほとんど復旧、11日にはすべて復旧できると説明した。そうした姿勢がメディアを混乱させ、住民を錯覚させた。復旧すると聞いていたのにいつまでも復旧せず、精神が消耗していく人々、寝苦しい二夜を過ごし疲れ果てた人々が、11日夜のニュースで復旧は13日以降になる見込みと知らされた時の心境はいかばかりか。政府、東電、マスメディアの責任は決して小さくない。

 より深刻な被害を被っておられる館山市、南房総市など千葉県南部にお住いの方々に必要な支援が行き届き、不安や疲れが癒やされることを心から願っている。(さがえ・けん)

*各教団・教派で被害状況の確認が行われているほか、募金の受付ができるよう準備も進んでい
る。次号で続報を掲載する予定。

撮影=ヒロタケンジ

特集一覧ページへ

特集の最新記事一覧

TO TOP