【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 「都合のいい牧師」にはならない キョウカイブルー 2019年10月1日

 慎重であり続けること、失敗をしないこと。果たしてこれは美徳だろうか。子々孫々にまで継承していきたい尊い信条だろうか。キョウカイジャーの周辺にも悪い言い伝えがある。それは「決断をしない牧師は任期が長い」。つまり、変化を嫌う教会に寄り添い続ける牧師は、教会にとっても都合がよいということだ。今、ここにある教会と自分たちにとっての都合だ。

 子どもの集まる場所にしたいと願いながら、ちいさい人たちを迎え入れるためのホスピタリティが高まるような環境整備をするでもなく、事業を興すわけでもない。多様な人が来てほしいと願いながら、自分に理解できない人はお断り。今、ここに集うメンバーの想像の範囲内だけで判断し続けていくことに不自由を感じない状況がある。

 先日、教会のトイレのリフォームを行った時のことだ。いくつもの盛り込みたい提案があった。しかし、たった一つだけ、私にはどうしても設置したい設備があった。人工肛門(ストーマ)などを洗浄するためのオストメイト用設備だ。設備について金銭面以外で議論になるはずもないだろうと思っていた。しかし、想像してもいなかった返事と共に提案は却下されてしまった。その理由は、自分たちの周囲でオストメイトを利用している人を見たことがないということだった。私も利用しているわけではない。けれども人工肛門を造設した人が周囲にいない、もしくは今、利用しているメンバーがいないということが新設備の設置を拒む理由であったことにとても心が痛んだ。

 同様のことは、私がこれまでに派遣されていったいくつかの教会で存在している。会堂を新設する時にエレベーターが要らない、といった教会もあった。これは若い人々の集まる教会で協議されたことだった。ところが私が着任した時にはメンバーの多くが歳を重ねており、足腰も弱くなり、かつて設置に反対した人もエレベーターを利用するようになっていた。

 案外、そういうものかもしれない。この場合、牧師として教会で長生きしたければ、エレベーターの設置は取り下げ「教会員の言うことをよく聞いてくれる都合のいい牧師」になればいいのかもしれない。先代の牧師は身をていしてエレベーターを設置した。

 教会はこんなエピソードが満載だ。一つひとつに進退をかけていたら、今ごろはいくつ目の教会で信徒の顔色をうかがい続けて小さく暮らしていたか知れない。果たして、それはキョウカイジャーの目指す姿か? 社会は2040年問題が控えている。私たちの就職氷河期世代は生涯所得も低いし、公的年金や福祉の恩恵にあずかることは難しい。このことは、教会の可能性がますます高まっていくことを示している。はらわたが引きちぎれるほどに(スプランクニゾマイ=「憐れむ」の原語)痛みをもって想うという精神が、私たちの世代の最終的な命綱でもある。だから教会が私的(あるいは「神的」)公共と福祉を担わなければならない。

 不都合な牧師と呼ばれてもいい。もっともっと自由で、多様で、福祉的で、挑戦的な教会をつくってみせる。悔しかったらみんな長生きしてほしい。たとえ教会に来られなくなっても、愛をもって「あなたのためだけの特別な」牧会をし続けていくことに、これからも変わりはないのだから。

キョウカイブルー
 青葉良好(あおば・りょうこう)革新的なテクノロジーには目がないインテリ系電脳牧師。クールに見えて実はツンデレ。電子機器を駆使して仕事をどう能率良くできるか、いつも考えている。メンバー内では最年長。武器:最新型タブレット「なんでもできるホン」/必殺技:プチニンノーダー(整理整頓)/弱点:新型ガジェット

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