「世界平和願いの祭典」プレイベント 多様な「願い」に心合わせ 築地本願寺に宗教者が集結 2019年10月1日

 東京オリンピック・パラリンピックを前に、文化の多様性と平和の尊さを体感できるイベントとして、2020年の7月18、19日、築地本願寺(東京都中央区)で「世界平和願いの祭典」(同実行委員会主催)が開催される。世界各国からさまざまな伝統宗教の指導者、平和活動家などを招き、「願い」「文化」「対話」を基軸としたプログラムが複数企画される予定だ。9月17日、同じ築地本願寺を会場とするプレイベントが開かれた。仏教、神道、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が一堂に会し、「願い」のセレモニーや、宗教を身近に体感できるワークショップなどが催された。メインステージとなった「願いの場」には、プロテスタントの牧師、カトリックの司祭を含む約80人の宗教者が入れ替わりで登壇し、来場した参加者は彩り豊かな「願い」の形に心を合わせた。

〝希望のバラ〟献花で新しい平和(ピース)を
日本ならではの「祭典」に期待の声

 毎月1回開かれる「安穏朝市」の朝。旬の野菜や果物、手作り雑貨などの屋台が建ち並ぶ境内の一角に、色とりどりの祭服、法衣に身を包んだ宗教者が三々五々集まってきた。

 とりわけ目を引いたのは、ピースマークをモチーフにした祭典のロゴ。同祭典でアートディレクターを務めた原神一氏が、壊れかけたマークに平和の象徴である「希望のバラ」(ピース)を加えることで「新しい時代の到来」を表現したという。原氏は、浜崎あゆみ、浅田真央をはじめ、時代を代表する著名人のロゴマークなどを多数手掛けてきた現代美術家。

 会場内には日蓮宗新聞の4コマ漫画「がんばれこぞうくん」の「こぞうくん」や、東本願寺の「鸞恩くん」、築地本願寺の「かるらん」など、仏教系ゆるキャラたちの着ぐるみも登場。道行く人に愛嬌を振りまき、イベントのPRにひと役買っていた。

 メインステージの「願いの場」では、諸宗教から10のチームが次々に登壇し、それぞれの様式に則った「願い」を披露。とりわけ多数を占めた仏教チームは、浄土宗、浄土真宗、天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗と、普段同じステージに立つことが珍しい組み合わせも見られた。イスラム教のステージでは、クルアーン(コーラン)の一節が朗誦され、夕陽指す境内の独特な空間と相まって異国情緒にあふれる一幕も。来場者はそれぞれの仕方で「参列」し、用意されたバラのシールに願いを書いてロゴの描かれたパネルに「献花」した。

 キリスト教からはプロテスタントの牧師として、関智征氏(「ブランド・ニュー・チャーチ」主任牧師)、進藤龍也氏(「罪人の友」主イエス・キリスト教会牧師)、カトリックの神父として英(はなふさ)隆一朗氏(聖イグナチオ教会主任司祭、イエズス会)らが登壇。

 元ヤクザで「前科7犯」と打ち明けた進藤氏は、聖書が語る平和について「神のゆるしなくして国のリーダーは立てない。その指導者が誤らないようにと祈る必要がある。失言で失脚した議員を笑っている人々も同じ罪人。神にかたどられた人間を侮ってはならない。まずは自分自身の中に平和がなければ」と訴えた。

 プロテスタントには、上馬キリスト教会のツイッター管理人である「MARO」(まじめ担当)こと横坂剛比古(たけひこ)氏のほか、落語家の参遊亭遊助こと豆生田(まめうだ)信一氏も加わり、聖書を題材にした落語も披露。カトリックからは聖イグナチオ教会の聖歌隊から約20人の信者らが参加し、祈りの声と賛美の音色が境内に響き渡った。

 会期中に併催されたワークショップは、キャンドルアーティストである早乙女さくら氏(SAKURAキャンドル主宰)の指導でグラデーションキャンドルを作成する「みんなの願いを灯そう」、本物の宗教者と対面し、自由に会話できる「宗教家と話そう」の二つ。子連れで参加した母親らも、多様な宗教文化に触れる機会として満喫していた。

 来場者からは「ユダヤ教やイスラム教の祈りは初めて聞いた」「もっと多くの人に届けたい」「(宗教)全部好きな人間としては貴重な機会」「来年の本番が今から楽しみ」などの感想が寄せられた。

 実行委員会は今回の経験を踏まえ、来年夏の祭典では、海外からのゲストも招き、さらに多くの人々が宗教文化に親しめるイベントとして成功させたいと意気込んでいる。詳しい情報は公式サイト(http://www.worldpray2020.jp/)で随時掲載される予定。

 

©ワンダースリー

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