【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 ラストライブをお前に キョウカイブラック 2019年11月1日

 ロックライブの最高潮、それは全力で魂を振り絞って予定していた曲をすべて弾き終わり、アンコールの歓声に包まれる時だ。自分の怒りや悲しみを歌詞にし、メロディーをつける。心の底から言葉を紡ぎ、そして生き様を奏でるのがライブ。子どもからお年寄りまでロックのリズムに身をゆだね、皆が解放され、叫び、歌い、笑い、そして泣く。最後にはアンコールの声が鳴り響く。

 ある時、俺はふと思った。なぜライブではアンコールが起こるのに、礼拝の説教ではアンコールが起こらないのだろうか。ロックのライブ会場では、少しでもアーティストに近づきたくて前へ前へと観衆が押し寄せる。アーティストが登場すれば大歓声を上げ、曲が始まればメロディーとリズムに身を任せ、ライブの世界に魂を溶け込ませていく。

 聖書を読む限り、キリストはライブアーティストだった。登場すれば人々は歓声で迎える。そして、今まで誰も体験したことのない命の奇跡を繰り広げる。それは天国のパフォーマンス。権力者をこき下ろすその激しい言葉は、まさにパンクロック。弱者の魂を包み込むその言葉はパラダイスのバラードだった。そんな天国のロックライブだからこそ、子どもからお年寄りまで、病人から議員まですべての人がキリストのもとへと押し寄せたのだ。そしてライブが終わっても、アンコールの声は鳴り止まなかった。ある者はキリストの衣をつかみ、離さなかった。

 だがなぜだ……? このキリストのライブであるはずの教会の礼拝では、真逆のことが起き続けている。人々はできるだけ後ろから座る。ライブが始まっても水を打ったかのように静まり返っている。そしてキリストの言葉が語られるメッセージ、説教の時は眉一つ動かさず皆黙って話を聴いている。誰にも笑顔がない。聴いている者は何かに耐えるかのように、じっと黙ってそこに座っている。語っている牧師に笑顔がないからだろう。眉間にしわを寄せ、辞書と辞典から引っぱってきた言葉を非日常の言葉で「救い」と称し語っているのだから。この何とも形容しがたい教会を支配している何か、それはキリストではない。

 教会の伝統、文化、習慣かもしれない。そこに疑問を抱き、抗い、変革していくことは勇気がいる。迫害されるし、教会の上層部からは非難も受ける。だが、怖れてはならない。俺たちが届けようとしているのは、神の子キリストの命を捨てて人々の罪を赦したという激しい愛。死というこの世の最大の闇をぶち破った復活の出来事。みんな闇を抱えて光を求めているんだ。だから、その光をぶっ放してほしい。そしてその光は既存のシステムをぶち破らなければ放てない。

 キョウカイジャー、ブラックである俺のこの「キリ新」でのライブは今日で最後だ。共に闘ってきた総督、キョウカイジャーたち、お前たちと出会えたこと、悪くなかったぜ……。

 そしてライブに来てくれたお前らにも、心からの感謝を。俺は今日もギターを握りしめ十字架の前に立つ。オルガンでもピアノでもない。ギンギンに歪んだロックギターをかき鳴らす。イエスこそロックだったんだ。何か新しいことをしているわけじゃない。キリストがしていたようにしたいだけだ。方法は違えどいつの時代も、どの教会もそうしてきたに違いない。お前ならできる。まだ間に合うよ。ライブはこれから始まるんだ。

キョウカイブラック
 黒田ジョスィ(くろだ・じょすぃ) ロックバンド、カフェなどで教会の常識と敷居を打ち破り、福音を世界に響かせるはみ出し系ロッカー牧師。 キリストこそROCKだと信じてやまない、熱い魂(ハート)の持ち主。教会での働きは意外にも真面目!? 武器:罪人重低音ベース/必殺技:ジーザス・クライスト・ロッケンビーム/弱点:理屈

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