「バチカン機密資料館」を「バチカン使徒資料館」に名称変更 2019年11月5日

 バチカン(ローマ教皇庁)の「バチカン機密(秘密)資料館」は、今後「バチカン使徒資料館」(Archivum Apostolicum Vaticanum)と呼ぶように、教皇フランシスコが10月28日、自発教令を発布した。公営バチカン・ニュース(日本語版)が報じた。この決定は、さまざまな司祭や司教、特に資料館に務める職員らとの協議期間を設けた後に下され、名称変更は教令発布と同時に有効となる。

 自発教令は、資料館が17世紀初頭に設立されたことに言及している。当時の教会は、宗教的・世俗的生活両方に関する重要な文書や本を収集して保存した。資料館設立当初は学者などには公開されてはいなかったが、その代わりに、バチカン職員によって複写された文書がそれを依頼した世界各地の学者に送られた。このため、哲学者で数学者のゴットフリート・ヴィルヘルム・フォン・ライプニッツはバチカン資料館のことを「欧州の中心的資料館」と呼んだ、と教皇は述べている。

 資料館が、バチカンを訪れる学者に公開されるようになったのは、1881年だった。現在もカトリック教会の公用語であるラテン語では、これまで「機密」と訳されてきた「secretum」という言葉は、よく「私的」と訳されてきたという事実に教皇は触れ、資料館名称変更の理由を説明した。「ラテン語という言語と語源の間に密接なつながりがあるという意識があった時代には、こうした説明は必要なかったであろうし、Archivum Secretumという名称を弁護する必要さえなかった」と教皇は記している。しかし、言語が発展していくうちに「Secretum」という言葉は、次第にネガティブな意味合いを帯びるようになり、スキャンダルを恐れて公共から隠す必要のある知識や情報を指す言葉となった。「これは、バチカンの資料館の従来のあり方とこれからあるべき姿とはまったく逆のものである」と教皇は記し、名称変更の説明をしている。(CJC)

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