アブラハム系宗教、命の終末をめぐり共同声明 2019年11月5日

 「アブラハム系一神教」代表者たちは10月28日、バチカン(ローマ教皇庁)で共同声明を通じ、安楽死と自殺幇助を非難、どこにおいてもすべての人に開かれた緩和ケアを奨励した。公営『バチカン・ニュース』が報じた。

 「アブラハム系一神教」という用語は、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒やその他の人々によって、信仰の父祖として認識されている旧約聖書の人物アブラハムに由来する。「私たちは、故意に、計画的に、生命を直接絶つ行為である、あらゆる種類の安楽死に反対します。医師による自殺幇助に対しても同様です――それは自殺を、故意に計画的に直接的に助ける行為です。これらは、人間の生命の不可侵的価値を根本的に否定するため、本質的にまたその結果として、道徳的に宗教的に間違っており、例外なく禁じられるべきです」

 代表者たちは、末期患者に対して、命を諦めるよう積極的に意図的に圧力をかける行為を明確に非難した。「末期患者の看護は、患者の回復が見込めない時であっても、神から贈られた命を守るというわたしたち信仰者の任務の一部であり、またそれは、苦しみながら死にゆく患者に対する人間的および倫理的責任の一部であります」と代表者たちは記した。「末期患者の人間独特の精神的、宗教的な側面を認識すること ― これは患者の、人間としての尊厳に敬意を払う全人的な看護が根本的に目指すものとしなければなりません」

 声明の発起人は、イスラエル出身のユダヤ教指導者(ラビ)であるアブラハム・スタインバーグ氏。声明の提案を受けた教皇フランシスコは、それを教皇庁立生命アカデミーに託した。生命アカデミーの議長であるヴィンチェンツォ・パッリア大司教は、声明文を起草するため、諸宗教の代表者らを招き、一つの異宗教混合グループを編成した。30人の署名者たちは、声明発表の後、バチカンで教皇フランシスコと会見した。署名者の中には、数名の枢機卿やデイビッド・ローゼン氏をはじめとしたユダヤ教指導者ら、インドネシアで二番目に大きいイスラム教団体のムハマディヤのシャムスル・アンワール氏が含まれる。

 パッリア大司教は、この声明がエキュメニカルに、また諸宗教対話的に共同で発起されたことの重要性を強調した。大司教は、代表者らがこれをとおして共通項を見つけたこと、またこの交わりの実りは、すべての人々のうちに「神の息子と娘を見出す」奉仕を提供することができるだろうと述べた。(CJC)

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