和解と平和を求める共同祈祷会 「キリストの平和」今こそ 日韓13教派・団体が祈り 2019年11月11日

 「1965年以降最悪の日韓関係」と両国間の緊張を危ぶむ声が高まる中、日本キリスト教協議会(NCC)東アジアの和解と平和委員会や在日大韓基督教会など、日韓のキリスト教諸教派・団体による「和解と平和を求める日韓キリスト者の共同祈祷会」(同実行委員会主催)が10月9日、日本キリスト教会柏木教会(東京都新宿区)で行われ、韓国キリスト教会の代表者らを含め約200人が参加した。実行委員長の金柄鎬(キム・ビョンホ)氏(在日大韓基督教会総幹事)によると、今年8月、韓国キリスト教教会協議会(NCCK)を中心に開かれた「韓日平和共同祈祷会」に日本からNCC総幹事ら5人が出席したことを受け、「日本でも同様の祈祷会を開きたい」との呼びかけにより実現したという。

 日本側を代表して登壇した石橋秀雄氏(日本基督教団総会議長)は、教団の「本当に近い隣人を遠くに追いやった歴史」を省み、エフェソの信徒への手紙2章から「キリストはわたしたちの平和」「両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました」とのみ言葉は「罪の告白と悔い改めなしには聞くことができない」とし、祈祷会の実現に謝意を示した。

 韓国側からは李鴻政(イ・ホンジョン)氏(NCCK総務)があいさつに立ち、「私たちは『東北アジアの共同の家』を共に建てていくべき隣人」と述べ、「信仰的な決断で、分断と冷戦の『城門の外』へ進み、平和の道を模索する祈祷会に、聖霊の働きが豊かにありますように」と結んだ。

真心をもって日本のために
平和の務めを誠実に果たす

 「共同の祈り」では、在日大韓基督教会、日本聖公会、大韓聖公会、日本基督教団、韓国正教会、日本キリスト教会、韓国基督教長老会、日本バプテスト連盟、基督教大韓監理会(メソジスト)、日本福音ルーテル教会、日本カトリック正義と平和協議会、韓國基督靑年協議會(EYCK)、日本キリスト教協議会(NCC)東アジアの和解と平和委員会の13教派・団体から代表者がペンライトを手に並び、それぞれの祈りを読み上げた。以下、祈祷文より抜粋。

■在日大韓基督教会 「韓国のすべての国民が、憎みや憎悪もって向き合わず、真心をもって日本のために祈り、また日本に暮らしている旅人の少数者たちが安心して生きることができるように」
■日本聖公会 「正しい歴史認識に立つリーダーシップと国際関係を保つ知恵と力をわたしたちにお与えください。そして、主から与えられた和解の務めを果たすために、祈り、連帯し、主から与えられた平和の務めをこれからも誠実に果たしていくことができますように」
■大韓聖公会 「両国のキリスト教信者たちが、このような痛い歴史を、一番正直に見つめることのできる目を与えてくださり、相手の痛みを分かち合える心を与えてくださり、もう一度、回復のため新しい、祭壇を積むことのできる手をくださり、互いに真実な愛を分かち合える、聖霊を与えてください」
■日本基督教団 「政治においても、経済においても、人と人との交流においても、今こそその隔ての壁をキリストの十字架によって取り去ってください。そして、わたしたちをキリストの平和で満たしてください」
■韓国正教会 「民族たちの間違いを取り繕ってくださり、その指導者たちが、陰謀をたくらむときには、神様は、憤慨なさり、怒号し、怒りの声で、大声で怒鳴られる方であります」
■日本キリスト教会 「何よりもわたしたちの国が、負の歴史と向き合い、痛みを負っている人たちの痛みを深く受けとめ、対立の溝を取り去る方向に向かうことが出来るように、この国の指導者たちに強い促しを与えてください」
■韓国基督教長老会 「和解と平和の願いを込めた私たちの祈りを聞き入れてくださり、聖霊の働きによって和解させてください。和解の聖霊を通じて傷が癒され、神の似姿としてたてられた私たちすべてが回復するようにしてください」
■日本バプテスト連盟 「わたしたちは現在の政治に責任のある方がたの進もうとしている方向性に疑問を抱き、戸惑い、しかし目を注ぎ、声を挙げています。かつて歩んだ道を繰り返すことのないように促しつつ、わたしたちもそれぞれ立たされている教会として、あなたの和解の福音に生きる者とならせてください」
■基督教大韓監理会 「加害者と被害者が互いに、和解の手を握り、この地に真の平和をかなえることができますように。このような仕事をするとき、韓国と日本のキリスト教徒たちが、前に立つことができますように。主から付与された平和の代理者としての使命を、耐えることができますように」
■日本福音ルーテル教会 「日本社会に生きるわたしたち一人一人が、東アジアを植民地として力で支配した過去の歴史に向き合い、真摯に和解と対話への道を目指して歩むことが出来るよう、わたしたちにあなたからの見えない力、聖なる霊を与えてください」
■日本カトリック正義と平和協議会 「力によって隣国を踏みつけ、傷つけた過去を認め、悔い改める勇気を、日本の私たちすべてが持つことができますように。踏みつけられ、力を振り絞ってようやく立ち上がった、韓国をはじめとするアジアの多くの人々の声に、日本の私たちすべてが耳を傾けることができますように」
■韓國基督靑年協議會(EYCK) 「差別という名で、嫌悪という名で、そして朝鮮学校の問題に食い下がり、自分達が属しているアイディンティーを知り、感じる権利すら奪われています。抑鬱な彼らの声を聞かれる神様! 彼らと共にいてください。どうか神様! この地に神の真なる正義がしっかり立つことができますよう私たちと共にいてください」
■日本キリスト教協議会東アジアの和解と平和委員会 「私たちも主に学んで『敵意』を滅ぼします。たとえ国と国の間に壁があっても、私たちの間に壁は作りません。日本と大韓民国の間に、和解と平和が築かれますように。そして、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国との間にも、和解と平和が築かれますように」

 次いで、韓国から自費で旅費をまかない、この祈祷会のために駆けつけた賛美チームが賛美歌を披露。礼拝は、それぞれの言語で共に「主の祈り」を唱えて結ばれた。
 祈祷会には他にもNCC教育部、NCC女性委員会、日本キリスト教盲人伝道協議会、平和を実現するキリスト者ネット、日本聖公会日韓協働委員会・人権問題担当者・正義と平和委員会、平和をつくり出す宗教者ネット、外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会、在日大韓基督教会西南地方社会部、西南韓国基督教会館(西南KCC)、全国キリスト教学校人権教育研究協議会が賛同のメッセージを寄せた。

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