聖書の記述検証に日本調査団が遺跡の発掘・客観的な手法で貢献 2019年11月22日

 イエス・キリストの故郷イスラエル北部ナザレ近郊で、2006年から遺跡発掘を続けている天理大、立教大などの調査団が、聖書の記述を客観的に検証し、成果を上げている。『サンケイ・ビズ』11月5日付が、テ・レヘシュ発共同通信の記事を伝えている。

 調査団は16年、ナザレ近郊のテル・レヘシュ遺跡の丘で、1世紀ごろに建てられたシナゴーグ(ユダヤ教会堂)の跡を発見した。イスラエルでも最古級で、縦8.5メートル、横9.3メートルの長方形。壁に沿って数十人が座れる長いすもあった。

 新約聖書にはナザレのイエスが村々の会堂で教えを説いたと書かれており、調査団の副団長を務める長谷川修一立教大教授は「イエスが訪れた可能性がある」と指摘。イスラエル各紙も「イエス時代の会堂発見」と報じた。当時のテル・レヘシュは人口100人に満たなかったとみられ、調査団は「小さな村でもシナゴーグが設置されていたことの証明」とみている。

 未発掘だったテル・レヘシュを手掛けることになったのは、当局に客観的な手法を評価されたからだ。キリスト教主体の欧米やユダヤ教のイスラエルでは、聖書の背景解明が考古学の目的の一つだった。欧米などの研究者が遺跡発掘に取りかかった当初は、聖書の記述が歴史的に正しいと実証しようとする意図があったという。

 これに対し、日本調査団は、西アジアの地域研究の一環として発掘を進めた。旧約聖書で描かれたモーゼの「出エジプト」の物語などでは、紀元前1200年ごろ、ユダヤ人がエジプトから現在のイスラエルに移ったとされる。日本調査団の発掘では、文化を維持しながら連続して居住していた跡が見受けられ、聖書の記述との間に隔たりがあることを確認した。

 団長の桑原久男天理大教授は「学問の裾野の広がりや、日イスラエル関係の強化につながった」と説明している。(CJC)

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