「キリシタン」イメージの変遷と受容の歴史 京都でセミナー 2019年11月24日

 「不思議な『キリシタン』――『他』をめぐる伝承を考える」と題した市民講座が11月22日、京都市生涯学習総合センター(京都アスニー、京都市中京区)で行われた(同センター主催)。講師は、南郷晃子氏(神戸大学国際文化学研究推進センター学術研究員)。

 冒頭、南郷氏はフロアに「キリシタン」のイメージを問いかけ、その歴史的実例として「愚かで哀れな日本人信徒と彼らを惑わせる外道の法、魔法であるキリスト教」を紹介。続いて、マスメディアにおけるキリシタン像を当時読まれた「実録類」から指摘。また歌舞伎においてキリシタンを下敷きにした演目に人気があったと語った。

 最後に、山形県山形市・門伝皆龍寺の伝承、同県西置賜郡金目の伝承を図像を併せて提示。それらが祟りや山人の説話と合流した点を指摘した上で、江戸期の「キリシタン」イメージが、明治維新後のキリスト教の再流入によって変化した、と結んだ。

 江戸期における「キリシタン」イメージの変遷と受容の歴史から、日本人の「他」に対する視線を浮き彫りにする研究に約100人の参加者が熱心に聞き入った。

 南郷氏には、「『キリシタン』の幻術――『切支丹宗門来朝実記』系実録類と地域社会の『キリシタン』」(共著『怪異学の地平』、臨川書店)がある。また「キリシタン実録類と江戸の商業活動 ――『伊吹艾』を中心に」「フロイス『日本史』にみる宣教師への悪口」などの研究がある。

 

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