【東アジアのリアル】 「グローバル平和条約キャンペーン」への招き 松山健作 2020年1月11日

 朝鮮半島の南北関係をめぐる動向は、常に不安定である。関係性が良好になったかと思えば、米国に北朝鮮が刺激されて、対立が深まっているようにも見える。その真相は判断しがたい様相を見せている。そして日本の報道は、一方的に北朝鮮、韓国への嫌悪を扇動するものに偏っているように思われる。

 しかし、どのような状況においてであれ、東アジアに属するキリスト者として、平和を願う思いは誰しも共通であろうと思いたい。緊張感が和らぎ、争いがなくなり、和解への道が備えられる必要がある。

 朝鮮半島の南北関係をめぐる緊張感が高まる中、韓国では「グローバル平和条約キャンペーン」が展開されている。朝鮮戦争の開戦から70年を迎える2020年。南のキリスト者、特に韓国基督教教会協議会(以下、NCCK)のメンバーを中心に朝鮮戦争の終戦宣言と平和条約の締結が望まれている。

 この運動を南では「2020グローバルヨベルの年、平和運動」と呼んでいる。この運動への呼びかけの先頭に立っているのは、NCCKの李鴻政(イ・ホンジョン)牧師である。彼はこの運動を韓国内だけにとどまらず、世界教会と共に行動するエキュメニカル運動として捉えている。

 NCCKは、この運動の一端の終着点を2020年8月15日光復節ごろに予定されている南北共同祈祷会と定めている。その際、韓国教会南北交流協力団や朝鮮半島エキュメニカルフォーラム代表団による平壌訪問を検討しているそうだ。

 また李牧師は、米国をはじめとする海外への働きかけにも積極的である。来年6月には米国のグローバルヨベルの年、平和運動に関連させ、世界的な市民レベルの次元で朝鮮戦争の終戦宣言及び平和条約を宣布する予定である。また米国長老会総会においても、朝鮮基督教連盟代表を招き、南北米の和解礼拝をささげる機会を準備しているそうだ。もちろん、このような運動に日本の教会も参与することが期待されている。

 日本では、日朝関係において拉致問題、日韓において徴用工・慰安婦問題が取りざたされる。これら延長線上には、間違いなく朝鮮半島における平和問題や冷戦構造という課題がある。そのような意味で日本のキリスト者が朝鮮半島の終戦に関心を抱くことは、義務的な事柄であろう。

 しかし私たちは、この朝鮮半島の平和問題、冷戦構造をめぐるさまざまな課題に無責任に対応してはいないだろうか。私たちキリスト者は、平和を希求する者として、教会レベルでこれらのキャンペーンに参与していくことから始めることはできないかと思っている。そして、共に日朝韓が手をつないで次の東アジアの平和について考える時代を構築できないかと願っている。

 「グローバル平和条約キャンペーン」参与方法は以下の通り。

 朝鮮半島の平和を夢見る個人、団体が互いに手をつなぎ、または腕を組む。「終戦宣言」「朝鮮半島平和条約」「End Korean War」「Korea Peace Treaty Now」などのメッセージを書き、ピケットを組んでも良い。そして、その瞬間を写真や動画に撮影する。そしてそれらをSNSでシェアし、ハッシュタグ「#DMZPeaceChain」「#KoreaPeaceChain」「#KoreaPeaceTreaty」を付け、参与完了。

松山健作
 まつやま・けんさく 1985年、大阪生まれ。関西学院大学神学部卒業、同大学院博士前期課程、ウイリアムス神学館、韓国延世大学神学科博士課程修了。現在、日本聖公会京都教区聖光教会勤務、同幼稚園園長、『キリスト教文化』(かんよう出版)編集長、明治学院大学キリスト教研究所協力研究員など。専門は日韓キリスト教関係史。

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