閉ざされたアーミッシュ社会で隠されてきた「性的虐待」 2020年1月27日

 米国版『コスモポリタン』誌と非営利の調査報道機関『タイプ・インベスティゲーションズ』との1年にわたる共同調査で、米国やカナダの一部で自給自足の生活を送るドイツ系移民のキリスト教の1派「アーミッシュ」内で行われて来た近親相姦やレイプなど性的虐待事例が明らかになった。「アーミッシュ」は、その宗教的理念に基づき、米国へ移民してきた当時のままの生活様式を送っている。

 『コスモポリタン』誌の執筆者は、およそ30人のアーミッシュと警察などの法執行機関の関係者、判事、弁護士、ソーシャルワーカー、学者たちにインタビューし、話を聞いてきた。それらを通じて、アーミッシュのコミュニティにおける性的虐待が、世代を超えて保たれてきた公然の秘密ということが分かった。被害者たちから聞いたのは、不適切な接触、性器を露出されること、レイプなどの話だ。加害者はすべて、被害者自身の家族であり、隣人であり、教会の指導者たちだった。

 アーミッシュの暮らしに関する研究で知られる、ペンシルベニア州エリザベスタウン大学の再洗礼派・敬虔派ヤング研究センターによると、北米に34万2000人ほどいるとされるアーミッシュは、ペンシルベニア、オハイオ、インディアナ、ケンタッキー、ニューヨーク、ミシガン、ウィスコンシンなど7州の地方部に暮らしている。

 出生率が高く、コミュニティを離れる人がほとんどいないことから、アーミッシュはアメリカ国内で最も急速に拡大している宗教グループの一つになっている。コミュニティは中央集権的ではなく、教会の〝教区〟単位で20~40世帯で構成され生活している。そして、筆者が被害者たちから聞いたようなことは、そのいずれにおいても起こっていた。

 筆者のまとめたところでは、過去20年の間、7州にあるアーミッシュのコミュニティで、子どもが被害者となった性的暴行事件は報告されているだけで52件。しかもこの数字は氷山の一角にすぎないのだ。(CJC)

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