東日本大震災国際神学シンポ 「苦難にどう向き合うか」模索 2020年2月11日

 第6回「東日本大震災国際神学シンポジウム」がお茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で開催された。同シンポジウムは、災害救援キリスト者連絡会(DRCnet)、東京基督教大学、青山学院宗教センター、キリスト者学生会(KGK)、学生キリスト友愛会(SCF)が中心となり、2012年の第1回から米国フラー神学大学院が共催してきた。今回は2月1日に「平和の子」をテーマに青年の部が、3日に「苦難の中でシャロームを生きる」をテーマに本会議が行われた。

 青年の部で主題講演を務めた小川真氏(KGK主事)は東日本大震災が発生した当時、関西に避難。そこで自身が神学校の卒論のテーマとしていた賀川豊彦の記念館を訪れたところ、賀川が関東大震災の際にいち早く現場に訪れたということを知り、それに感銘を受けて被災地支援に携わることとなったとの経緯を話した。また、テーマである「平和」について、自身が教会生活で対立と和解をした経験から「悔い改め」が、親子関係に悩んでいた青年の話から「赦し」が必要であると青年たちに説いた。参加者たちはこれを受け、「平和の子として何ができるか」についてディスカッションとグループワークで深めた。

 本会議では「苦難にどう向き合うか:旧約聖書から」との主題でレスリー・アレン氏(フラー神学大学院教授)が講演=写真下。詩編にはorientation(方向性が定まっている)、disorientation(方向性が混乱している)、reorientation(方向性を再度定める)の三つの季節があり、それぞれの季節に適した神学があると述べた上で、disorientationの季節における「嘆き」への対応を、哀歌、詩編、コヘレトの言葉、ヨブ記を実例として検討した。中でもヨブ記では、ヨブの嘆きに対して神が語られた、悪い状況を別の枠組みで捉え直す「リフレーミング」と呼ばれる方法が重要な役割を果たしており、災害後の現実に適用することができる新しい理解を造り出すことができると語った。

 主題講演に続いて3氏が応答。左近豊氏(青山学院大学教授)は「嘆きの詩編」と「哀歌」を取り上げ、これが東日本大震災後の社会にあって、神への「執り成しの祈り」とされることを論じた。特に最終行には包み隠さず「嘆き」をぶつけ、神の胸ぐらをつかんで挑みかかるような信仰が、3章には逆境の呻きから新しい境地の賛美が描かれていると述べた。

 小山英之氏(上智大学教授)は自身の研究対象である、北アイルランド紛争において平和構築に貢献したアレク・リード神父の働きを紹介。アレク神父が直接暴力の現場に出向き、暴力をただ避難するのではなく、彼らの「嘆き」を聞くことによって「対話と関係作り」を行い、最終的には民主主義を通して目的を達成するように導いていったことを説明した。

 ランドル・ショート氏(東京基督教大学教授)は、アレン氏の用いた詩編の三つの季節を公の礼拝で用いることは困難であると指摘。その理由を、季節の共有ができていた古代イスラエルの共同体と、接点がまったくないコミュニティに所属する現代との違いにあるとした。その上で、現代の苦難を覚えている人に伝わる、この時代の課題に対する「新しい歌」を作らなければならないと述べた。

 

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